春の改編ドラマは、作家の池井戸潤氏が原作のドラマが独走のうちに、幕を閉じようとしている。
日本テレビの「花咲舞が黙ってない」の最終回は、6月18日(水)22時からである。池井戸氏の『不祥事』と『銀行総務特命』が原作である。TBSの「ルーズヴェルト・ゲーム」は22日(日)21時から。
小説の映像化はもちろん、ストーリーの展開の面白さに魅かれなければならない。池井戸作品あるいは、映像化される作品に必要なものとはいったいなんなのだろうか。
それは必ずしも、ベストセラーであることが必要条件ではない。「半沢直樹」の原作は、池井戸氏が直木賞を受賞する以前の『オレたちバブル入行組』と『オレたち花のバブル組』であった。映像化によってベストセラーになったものである。
倒産直前の2時間
中小企業を救うため奔走
「花咲舞が黙ってない」の第9話(6月11日)を観た。
主人公の花咲舞(杏)は本店の「臨店」班の職員である。コンビを組む上司の相馬健(上川隆也)とともに、支店で起きる事件の解明にあたる。この回は新宿支店が舞台である。
窓口業務(テラー)から銀行員としてスタートした花咲は、応援として窓口に入る。
そこで出会ったのが、融資課の伊丹清一郎(平岡祐太)である。本店が銀座開発の大型融資先として、交渉をしているホテルなどのコングロマリッドの伊丹グループの御曹司。入行4年目である。
伊丹が入行当初に振り込み業務をめぐって、ミスをしてとがめられた中小企業の融資の実行時期が迫っている。伊丹は過去にプライドを傷つけられた腹いせに、その中小企業が融資を受ける条件を満たしているにもかかわらず、稟議書をつくりかけのままにして、倒産に追い込もうとしている。
花咲とコンビの相馬は、融資の実行がなされなければ、その中小企業が不渡りを出して倒産する直前の2時間という時間の壁のなかで、融資の実行に懸命の努力を注ぐのであった。