2026年1月7日(水)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2026年1月5日

 「新型挙国体制」とは、研究活動において市場メカニズムやインセンティブ供与という「新型」手法を用いつつ、中国共産党が統一的指導と人材管理を行う「挙国」体制で臨むというもので、米国との長期的対峙が想定された体制といえよう。

 次に、習近平政権発足以来の目標である「全面的な改革深化」を再度強調している背景には、近年の経済の停滞を突破するために従来のやり方を改めなければならないという問題意識があると思われる。『十五五建議』では「強大な国内市場構築」の章で、①消費の活性化の強力な推進、②効果的な投資の拡大、③全国統一大市場の構築、が挙げられている。

 ①は内需拡大に本腰を入れようとするもので、後述の習近平講話とも呼応している。②では民生分野への投資強化と民営企業の活力喚起を強調している。③は国内市場に残る地方間の障壁の解消と「内巻」(国内での過度な価格競争)の是正を求めている。新五カ年計画の中で中期的に取り組んでいこうとのスタンスかと思われる。

経済工作会議の重点分野

 経済工作会議の重点分野では、『十五五建議』の重点分野を踏まえた具体的政策項目が列挙されている。

 第1「内需主導、強大な国内市場の建設」では、補助金等による消費喚起策に加え、都市・農村住民の所得増加計画の策定・実施を記している。第2「イノベーションによる牽引、新たな成長動力の育成・強化」では、北京(北京・天津・河北)、上海(長江デルタ)、広東・香港・マカオ・グレーターベイエリアでの国際科学技術イノベーションセンター建設といった国家主導プロジェクトに加え、企業のイノベーション主体としての地位強化、新興技術分野の知財保護制度整備等を記している。第3「改革の難関攻略、質の高い発展の動力・活力増強」では、全国統一大市場建設条例の制定や「内巻」是正が記されている。

 注目されるのは、第4項目として「対外開放、多領域の協力・ウィンウィンの推進」が挙げられていることである。対外開放の位置づけは、『十五五建議』ですでに第14次五カ年計画建議の第9位から5位となっていたものをさらに上昇させた。

 内容的には、制度型開放の着実な推進、自由貿易試験区配置の最適化、「一帯一路」共同建設の質の高い発展など従来施策の踏襲であるが、経済底上げのためには対外開放推進が重要であるとの認識が強まっていることを窺わせる。

内需拡大の習近平講話集

 冒頭で述べたように、次期五カ年計画の細目を詰めるタイミングで『内需拡大は戦略的措置である』と題した習近平の講話集が公表された。15~25年の間に各種重要会議や地方視察の際に発せられた習講話を「内需拡大」をテーマに編纂したアンソロジー(選集)である。第14次五カ年計画策定時の「双循環」講話と同じく、中国共産党の機関誌『求是』(25年12月16日、第24号)に掲載されたことからもその意図は明らかであろう。


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