写真集発刊に向けて、現場との調整に奔走
写真集をつくるにあたって、社内で調整役を務めたのは検測員の一人、加藤祥太さん。写真家・村上さんの希望と熱意を受け止めながら、現場との調整に奔走しました。
写真集の目次ページに掲載されているのは、夜明けの大井車両基地(東京都品川区)にドクターイエローを含む新幹線が並ぶ写真。美しい光景ですが「車両の運用時期に関係なく、撮影日は夏場でなく冬場の空気が澄んだ時期がいいとか、ヘッドライトをつけてほしいとか、村上さんに無理難題をいわれまして…(笑) 早朝から運転士たちに来てもらってヘッドライトをつけてもらうなど、車両所や他部署の方々の協力のもと、なんとか実現することができました」と加藤さんは振り返ります。
「ありがとうT4」の裏側
トークショーで子どもたちからの「どうしてドクターイエローに乗ることになったのですか?」という問いかけに、「夢です。ドクターイエローの検測員になりたいと、熱い気持ちで言い続けていたから。夢は、叶います」と答えたのは栗原祐輔さん。
ドクターイエローのラストランを前に、栗原さん、板垣さんを中心とした検測員たちは、いつも見守っていてくれる沿線の方々に感謝の気持ちを伝えたいと考えました。「私たちが検測している1号車(海側)の窓の数は7つ。“ありがとうT4”の文字を一文字ずつ窓に貼ればぴったりで。これで走行すれば、きっと沿線の人たちに喜んでもらえるはず──」
栗原さんはデザインなどの制作にとりかかり、調整役である板垣さんに会社側に提案してもらえるよう依頼。ところが、部内で「可燃性のある素材を窓に貼って、安全性を担保できるのだろうか」という懸念が出てきました。
確かに、新幹線の安全走行を支えるはずのドクターイエローに万が一のことがあってはなりません。でも……。思い悩んだ検測員たちは、新幹線の装飾に紙ではなく防炎クロスを使用することを再提案し、なんとか周囲の理解を得ることができました。計画書を作成し、沿線の全自治体に条例に抵触するかどうかを確認、クロスの取り付け箇所を間違えないように目印を制作するなど、検測員たちは一丸となって準備に明け暮れます。
ラストラン当日、この日はT4に乗務してきた電気部所属の検測員全員がドクターイエローに乗車しました。ドクターイエローのラストランと装飾についての情報は、事前告知しなかったにもかかわらず、走行後あっという間に拡散。東京駅から新大阪駅まで、一目見ようと駆けつけた人々の姿が途切れないほどの人々が集まりました。
