栗原さんがドクターイエローに乗車する時には車体に手を添えるのが恒例ですが、新大阪から東京駅までの上りのラストランの日、必死で涙をこらえる姿が写真集に残されています。
ドクターイエローT4最後の1年間、検測員たちと一緒にドクターイエローに乗って撮影し続けていた写真家の村上さんは、いつしかチームのメンバーのようになっていました。「最初は写真を撮られるのに緊張していましたが、段々意識しないようになって、ごく自然に動くようになっていました」と検測員たちは口を揃えます。
終着駅である東京駅にドクターイエローがたどりつこうとする直前、車内で撮影していた村上さんは、通常照明で白く見えるはずの夜のホームがなぜか黒く見えて、目を疑いました。それだけ多くの人が、待っていてくれていたたのです。村上さんは全身が熱くなり、こみ上げてくるものがありましたが、すべての感情を遮断し、シャッターを切り続けたと言います。
ドクターイエローからの最後のメッセージ
ラストランの最中、試練に遭遇したというのは、信号の検測を行う高井さん。走行中、信号の不具合を知らせるアラートが出ました。このアラートは、異常でなくても規定値を超えると発生するもので、本当に異常があるのかどうか見極めるのが検測員の使命。「めったに出ないアラートが出たので、まさか最後の時に出るとは思っておらず、驚きました」
結局問題はなく、胸をなでおろしたものの、高井さんはドクターイエローで勤務を始めたばかりの頃、同じ内容のアラートが出た時のことを鮮明に思い出したと言います。「ドクターイエローから、まだまだ修行が足りないぞ。ますます仕事に励むよう言われたような気がしました」
「ラストランが無事に終わったときには、本当にほっとしました」と高井さん。自分たちが言い出したことだけに、ドクターイエロー最後の花道に何かトラブル起きては取り返しがつかず、さらにアラートも出てしまったため、ものすごい緊張感の中での走行だったと言います。
