エルドアン大統領の「トルコによる中東の平和」の野心の基礎は脆い。それに成功しなければ、彼は国民の失望、国内経済の一層の弱体化により、統治の正統性が衰えるだろう。
同大統領は、ネオ・オスマン・トルコ帝国の皇帝になる夢を抱いているのだろうが、現在のトルコはよろめき、国内の政治経済問題に足を取られている。トルコは中東地域で主要なプレイヤーであり続け、シリアでは圧倒的な立場にあり続けるだろうが、中東における唯一の支配的勢力だった過去に時計の針を戻すことは出来ない。
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トルコ・イスラエルの対立激化へ
中東では、軍事的にトルコ、イスラエル、イランによる三者が鼎立状態になることで、力の均衡状態が続いていた。しかし、昨年6月のイスラエルによるイラン攻撃(12日間戦争)でイランが脱落し、地域覇権国の地位を巡ってトルコとイスラエルの対立の可能性が顕在化した。さらに一昨年、両国間の緩衝地帯だったシリアでイランの影響が強いアサド政権が崩壊し、トルコとイスラエルが直接対峙することになり、両者の対立が加速している。
上記の論説は、エルドアン大統領の野望は、スンニ派イスラム原理主義に基づく、ネオ・オスマン・トルコ帝国の建設だとしているが、その通りであろう。しかし、これではイスラエルとソリが合う訳がない。
