2026年2月11日(水)

21世紀の安全保障論

2026年2月11日

対中戦略は価値観を一にする国々との連携で

 中国は2月1日、海警局が日本の領海内で尖閣諸島を撮った映像を初公開した。昨年、軍艦並みの76ミリ機関砲などを搭載した同局の武装船が尖閣周辺の接続水域内を航行した日数は、過去最多の357日に達し、中国は映像によって虚偽の領有権主張を可視化させ、武力を使ってでも日本の領土を奪取しようとする意図を明確にしたと言っていい。選挙期間中だったため、政府は強く抗議してはいないが、尖閣で日本が妥協する余地がないことだけは、はっきりさせておかなければならない。

 政府は現在、「準同盟国」として安全保障協力を進めるフィリピンに対し、日本製の警戒監視システムを輸出する方向で調整しているが、フィリピンに限らず、東シナ海と南シナ海で海警船の不法行為と対峙するベトナムやインドネシア、台湾など価値観を一にする国や地域と連携し、不法行為の情報共有と映像発信を強化する必要がある。

 この海域の重要性について、米国は1月に公表した「国家防衛戦略」で、中国を「米国に次ぐ世界第2の強国」と定義した上で、「日本の南西諸島から台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線に沿って強力な対中防衛体制を構築する」と明記しており、トランプ米政権に対し、日本が中心となって海域の安定に貢献する姿勢を示すことが重要となるからだ。

日韓・日英…そして

 中国の習近平国家主席は1月、訪日直前の韓国・李在明大統領を急きょ国賓として招き、北京で首脳会談を行った。歴史問題で韓国と共闘し、日本を孤立させる狙いであったことは明らかだ。しかし、同月13日に訪日した李大統領は高市首相との首脳会談で、日米韓の安全保障協力を深める方針で一致し、李大統領は「複雑化する国際秩序の中で両国の協力が何より重要だ」と述べ、日本を重要なパートナーと認識していることを強調した。

 対中戦略上も日韓の連携は最も重要な課題であり、日本は韓国が希望する環太平洋経済連携協定(TPP)への加入を後押しすることができるだろう。また、日韓がともに同盟を組む米国の海軍力を増強する上で不可欠となる造船分野では、修理や建造などの役割を分担しながら米国に相当な協力ができるはずだ。

 李大統領に続き、同月31日に英国のスターマー首相が日本を訪れ、高市首相との首脳会談で、経済安全保障を含む安保分野での協力強化で一致したほか、経済的な威圧行為を重ねる中国について認識を共有したという。

2026年1月31日、英国のキア・スターマー首相と高市首相の会談(首相官邸ホームページより)

 スターマー首相は英国の首相として8年ぶりに訪中した直後で、中国は訪日を止めるように強く働きかけたとされるが、日英首脳会談では、自由で開かれたインド太平洋の実現が主要議題となり、スターマー首相は「インド太平洋の安定は日英双方の利益にかなう」と強調している。


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