2026年2月17日(火)

都市vs地方 

2026年2月17日

 こうした消費行動は価格差に大きく依存するため、47品目の地域間価格差も調べたところ、価格差も遠いところほど違っていたものの、74年に比べて05年には距離による違いは小さくなっていた。そこで、支出シェアの違いから価格による違いの影響を取り除いて、食品への好みを地域別に推定したところ、離れた地域間ほど好みの差が大きいこと、74年に比べて05年は距離による差は小さくなったものの、差自体は残っており、地域の教育レベルや住民の国籍やファーストネームの構成に関係していることを示した。

 これは、フランスにおいて、距離による地域の食文化の違いは小さくなったものの、地域の人々の属性による違いが顕在化し、違いそのものは残り続けていることを意味している。

地域文化の変容:日本の場合

 このフランスについての研究結果を、可能な範囲で日本について確認してみよう。総務省の家計調査にある都道府県庁所在都市別の品目別支出額の02年および24年の結果を用いる。

 外食を含む食品への品目別支出額から、食品支出額に占める各品目のシェアを求めた。02年のデータでは208品目、24年のデータでは213品目について、都道府県別(都道府県庁所在都市を各都道府県の代表とみなした)に支出シェアを求め、そのパターンの違いをフランスについての研究と同様に求めた。図1はその結果である。

(出所)筆者作成

 横軸に都道府県間距離(都道府県庁所在地間距離を用いた)の自然対数値をとり、縦軸に支出シェアのパターンの違いをとった。支出シェアのパターンの違いは、最も大きく異なる場合に1を、全く同じ場合に0をとるように指数化したものである。

 散布図そのものではなく、散布図の点を20個の点に集約して見やすくした図(Binned scatter)である。散布図をそのまま描くと、47都道府県×47都道府県で2209の点になってしまい見づらくなるため、集約した。直線は近似直線である。

 これをみると、02年、24年ともに遠い都道府県間ほど食品消費パターンは違っていることがわかる。さらに、24年の方が距離の影響が小さくなっていることも分かる。ここまではフランスと似た結果である。しかし、フランスとの違いは、日本では都道府県間の違いそのものも小さくなっている点である。

 これが価格の変化と同じ方向なのかを確認するため、総務省の小売物価統計調査(および全国物価統計)のデータを用いて、02年は231品目、24年は232品目の食品の価格を都道府県間で比べてみた。図2がその結果である。

(出所)筆者作成

 この図でも、横軸に都道府県間距離の自然対数値をとり、縦軸に都道府県間の価格差の指数を取っている。価格差も、全品目の価格差を集計し、最も大きく異なる場合に1を、どの品目の価格も同じ場合に0を取るよう指数化した。また、散布図を集約した図を描いている。

 これをみると、価格差そのものは小さくなっているものの、距離による違いは24年にも残っており、むしろ若干その影響は強くなっている。


新着記事

»もっと見る