2026年2月20日(金)

プーチンのロシア

2026年2月20日

「150億ドル」の正体

 世界の主要兵器取引を追跡しているストックホルム国際平和研究所によると、ロシアの大型兵器輸出は22年から24年の間に47%減少したという。この結果、世界の兵器輸出額ランキングで、ロシアは24年に、長年維持してきた米国に次ぐ2位の座をフランスに明け渡し、3位へと後退したとされている。

 一方、米国のシンクタンクであるジェームズタウン財団の分析によれば、ロシアの兵器輸出は21年から23年の間に壊滅的に減少し、146億ドルから約30億ドル程度まで落ち込んだ可能性があるという。

 このように、少なくとも24年までは、ロシアの兵器輸出は下降線を描いていたというのが、国際的に主流となっている見方である。それが、25年に急にV字回復し、150億ドルを達成したというプーチン大統領の発言は、かなり不自然だ。

 それを説明する要因として、まず考えられるのは、数字のベースが違うという可能性である。ストックホルム国際平和研究所などが跡付けている兵器輸出額は、「移転量(主要兵器の引き渡しベース)」の統計ということである。一方、上述のとおりロシアの「軍事技術協力」は、兵器本体の輸出だけでなく、保守・修理・近代化、スペアパーツ供給、訓練の実施、ライセンス供与など、付随する様々な商品・役務の提供を含んでいる。

 プーチン政権は今回、外国への軍事製品供給をそのように拡大解釈し、色んな数字をかき集め、150億ドルという立派な数字を作って発表したということは、可能性として考えられよう。供給先はグローバルサウスの国のはずなので、輸出収入を回収できているのかは微妙で、単に未収金が積み上がっているだけなのかもしれない。それでも、仮に150億ドルに相当する軍事製品・役務が実際に供給されたのだとしたら、プーチン発言はあながち嘘ではないのかもしれない。

 もう一つ、個人的に気になるのは、北朝鮮の要因である。周知のとおり、北朝鮮はロシアに自国兵士を派遣し、多大な死傷者も出している。その見返りにロシアが北朝鮮に兵器や軍事技術などをかなりの規模で提供し、それを評価額ベースで「輸出」として計上している可能性はないだろうか。

 むろん、こうした取引の詳細は高度に秘匿されており、現時点ではまったくの推測の域を出ない。この点は、ロシアの軍需輸出をめぐる透明性の限界である。

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