カンボジア側がリークした意図は、タイの内政を混乱させて国境紛争を有利に持ち込もうとしたのであろうか。しかし、その後、国境紛争で国軍の活躍をクローズアップし、タイ国民の愛国心を高揚させたのは、保守派の作戦である。
まだ遠い政治の安定
このように、カンボジアとの国境紛争がトランプ大統領の介入にもかかわらず収束しなかったのは、やはり、タイ側の内政上の理由が大きかったと思われるが、逆に言えば今回の選挙の結果を受けて、用済みとなった国境紛争は、今後鎮静化していくのではないだろうか。
最新の報道によれば、改選前の71議席から190議席に大躍進した「タイの誇り党」は第三党の「タイ貢献党」(タクシン派、76議席)と連立を組んで組閣するようだ。なお、「前進党」の後継政党の「人民党」は116議席の第二党だった。
結局、保守派は、また、元仇敵のタクシン派と組んで組閣することになる。ペートンタン政権では、後ろ盾のタクシン派がタクシン派への支持率を高めるために財政事情を顧みずに強引なバラマキ政策を進めたりしたが今回は、「タイの誇り党」が圧倒的な多数を握っているのでより安定的な経済政策が期待でき、この記事も指摘する通り、苦境が伝えられるタイ経済が再生する機会になるかも知れない。
上記の記事は、タイ国民は政治改革を望んでいるが、政治の安定と景気回復をより優先する課題としたために保守派に投票した、と分析している。しかし、改革派の「人民党」がバンコクの全議席を独占した(他地域では振るっていない)ということは、言い換えれば、やはり、改革を真に望んでいるのは都市部の中産階級に限られていように思われる。
