世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年7月21日

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 最近のISISのプロモーションビデオ「The Rattling of the Sabers」は、イスラム国家の建設と、イラク軍やシーア派という敵の壊滅という2つの主要目標のために戦う戦闘員を、偶像崇拝する、非常に暴力的なプロパガンダである。

 ISISは、シリアとイラクでは異なる戦略をとってきた。シリアでは、既に政府の手から離れているが、他の反体制派によって脆弱にコントロールされていた土地の獲得に焦点を当てていた。一方、イラクでは、フセインのバース党などのスンニ派の武装集団と連携する為、マリキ首相へのスンニ派の幻滅を利用した。

 イスラム集団の専門家であるHassan Abu Hanieh氏は、「非常に危険なことは、こういった勢力が共通の目標を持つことである。ISISは、広範にわたる怒りを利用し、彼らのアイデンティティの基礎をシーア派との戦いに置くことができる」と述べている、と報じています。

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 ISISの沿革から説き起こして、現在のISISの行動を説明している解説記事です。

 これによれば、今回の事態は、ISISが2006年以来、一貫してとって来た政策が結実したものである由です。

 ここで説明されているISISの性格と戦略は、今後のイラク情勢の見通しにも重大な意味を持つでしょう。

 ISISが、シーア派に対するイラク・スンニ派の中における広範な敵意を味方にしているという点からは、マリキ政権としては、バグダッドの防衛は出来ても、北部制圧は至難の業ということになります。

 唯一の成功の前例は、ペトレイアス将軍の時代の米軍の増派とスンニ派の懐柔とでありましたが、オバマ大統領がもう米地上軍は派遣しないと言っている以上、マリキの軍だけで、スンニ派の懐柔が出来る見通しは小さく、その成功が繰り返される可能性は低いように思われます。

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