2026年4月12日(日)

日本の縮充化

2026年4月12日

就農の契機を与えた
東京都・八丈島の支援

 東京都には人が住む島が11ある。そのうちの一つ、八丈島で新規に農場を建設し就農した浅沼壮さんは八丈島出身で現在44歳。30代で島に帰り、八丈町がつくった研修農場で4年間、施設園芸を学んだ。

 ここでは、農場で学びながら自分が農場で生産し、出荷して得た収入は自分のものにできる。浅沼さんはその収入で生活資金を稼ぎながら、島内に30アールの農地を取得し、約100坪のハウスを15棟建てて、主としてレザーファン(花束や盛り花に使う葉)を生産販売している。

レザーファンだけでなくオクラなどの生産にも励む(八丈島)(筆者撮影)

 就農してから7年を経て現在は夫婦2人を含め6人で営農している。

 大型で強い台風が通過する八丈島だから耐風強化型の頑丈なハウスをつくった。農地や機械類の取得費用も含め数千万円を日本政策金融公庫からの借り入れでまかなった。毎年の返済額はかなりの額となるが、レザーファンは日持ちするので大規模に営農すれば島外の市場で一定の値がつく。7年を経て経営は立派に成り立っている。

長崎県・福江島で
和牛の一貫経営に挑戦

 山口伸太郎さんは現在41歳。高校卒業後、島外に就職し、30代で長崎県五島列島の福江島にUターンして地元のJAに勤務を始めた時、家業は野菜・果実の生産のほか牛の繁殖だった。まもなく家業を継いだ山口さんは、子牛を出荷し、肥育が島外で行われている限りは五島牛がブランドにならないので、肥育も島内で行うことを考え、黒毛和牛の繁殖・肥育から精肉店・レストランまで一貫経営を行う「やまぐちファーム」という会社をつくった。

 今では自ら約90頭を育てるほか、約60頭を近隣の農家に委託して肥育する。牛舎で使うおが屑は林業組合から仕入れ、清掃後はコンポスト化して約65枚の畑で堆肥として使用する。畑では牧草のほかコメ、メロン、野菜などを生産し究極のリサイクル農業を実現した。精肉は顧客にクール宅配便で送るから子牛や成牛の販売と違って離島のハンデがない。家族を中心に9人で働いている。

肉の味が評価され、各種コンクールで入賞も果たす(福江島)(筆者撮影)

 牛にとってストレスのない清潔で快適な環境を実現するため、地元JAや五島市の協力を得て国の畜産クラスター事業の資金などを活用し、牛舎の清掃やえさやりなど、作業の自動化・機械化を実現した。

 八丈町の浅沼さんも五島市の山口さんも国の資金を使っているが、浅沼さんは八丈町の研修農場があったからこその就農であり、山口さんもJAや地元の協力を得て牛肉の一貫生産を始めた。国の資金も地方の市町村や現場の業界組織が十分な対応をしなければ活用されない。

 浅沼さんは「町の研修農場で研修中に創業後の収入と支出の計算を何度も行った。この計算を間違えると返済が厳しくて営農を続けることができない」と強調している。山口さんは畜舎を徹底して自動化してマンパワーを販売などに回す経営スタイルをつくった。


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