2026年4月15日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年4月15日

インド太平洋にも影響

 イラン戦争に米軍を長期に関与させることは、インド太平洋地域にも深刻な影響を与えかねない。空母、在沖縄海兵隊、在韓米軍の一部装備が中東に派遣されつつあり、すでに一定の影響が出ている。

 空母については、米国は本年1月、南シナ海に配備されていたエイブラハム・リンカーン空母機動部隊を中東に移動させており、現在、南シナ海に空母は存在しない。また3月に入って、沖縄の第31海兵遠征部隊(31MEU)2200~2500人が、佐世保に配備されている強襲揚陸艦「トリポリ」他に乗船、中東に派遣されている。31MEUは即応機動部隊として常時前方展開している部隊で、台湾有事が起きた時には最初に派遣されると言われている部隊だ。

 さらに、韓国の慶尚北道星州(ソンジュ)の基地に配備されているTHAADミサイル1個大隊(battery)、ならびにパトリオット(PAC-3)も、中東に移動されていると報じられている。前者は地上40~150kmの上層での迎撃、後者は高度25~30kmでの迎撃を任務としている。

 THAADミサイル・システムのAN/TPY-2レーダーの覆域は最大で1000kmとも3000kmとも言われており、北朝鮮のみならず中国本土からのミサイル等に対する探知が可能だ。17年に配備される前後の中国の強い反応は記憶に新しい。

 韓国にとってこれらの移動は痛手ではあるが、報じられるところでは、THAADミサイル大隊のすべてが移動するのではなく、大隊に含まれる発射台6基のうち2~3基のみで、あとは星州の基地に残されるようで、損失は致命的ではない。

 以上の動きにより生じる防衛網のギャップは、現時点で深刻な状態にはないが、長期化すれば、周辺諸国の挑発行為の誘発に繋がる可能性が十分にある。イラン情勢が徐々にわが国周辺の戦略環境に影響を与えつつあることに十分留意が必要だ。

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