入管庁に対し、留学生の書類への審査が適正になされているかと問うとこんな回答があった。
「経費支弁書類に疑義が生じた場合には、内容に応じて追加の説明資料等を求めるなどして適切な審査に努めています」(同庁在留管理支援部在留管理課)
留学ビザの審査を担うのは各地方の主要都市に設置された入管だ。そんな地方入管で審査を担当した経験がある元職員は、一部の日本語学校への審査が緩和された経緯と理由をこう話す。
「入管内部では、適正校への審査を簡素化すべきとの意見は10年近く前からありました。日本語学校の入学時期は年4回ですが、留学生が急増したためあまりに忙しく、担当者に書類を十分審査する時間がないのです」
そうした事情もあって経費支弁能力の問題に深入りせず留学を認め、入管当局が最も嫌う不法残留などの防止は学校側に委ねることにしたようだ。
ネパール、ミャンマー、スリランカ、バングラデシュ、ベトナムの5カ国だけで留学生全体の半数以上に上る。よほどの富裕層でなければ日本の留学ビザ取得に十分な経済力などない国々だ。ビザの審査を厳しくすれば、留学生の数は大きく減るだろう。多くの日本語学校や、一部の専門学校・大学は経営難に陥る可能性が高い。
もちろん、新興国出身の留学生すべてが出稼ぎ目的の〝偽装〟というわけではない。国籍別で最多の14.8万人に上る中国人留学生は00年代前半までは不自然な書類を用いたビザ取得が横行していたが、今やアルバイトもせず暮らす「金持ち留学生」で溢れ返る。
10年代に〝偽装〟の代名詞だったベトナム人留学生にも、最近では数が少ないが富裕層はいる。
恩恵受ける我々の責任
変えるべき日本の課題
筆者には〝偽装〟だからといって、留学生を責める意図はない。彼らは金さえ払えば〝本物〟の証明書が手に入る母国の〝慣習〟や、低賃金の外国人労働者を欲する日本側の事情に便乗しているに過ぎないからだ。
責任があるとすれば日本側だろう。日本にとって留学生は人手不足の緩和に貢献し、しかもバイト代は学費として徴収できるとあって極めて好都合な存在となり得るからだ。学費や生活費をバイトで工面している留学生を大手メディアが〝美談〟として報じたい気持ちもわかる。大学などに籍を置く〝有識者〟は留学生を増やす政策を推進する文部科学省を忖度してか、声を上げない。そして私たちも日々の暮らしで留学生バイトの恩恵を受けている。
だが、働くことが目的ならば最初から「留学生」ではなく「労働者」として受け入れればよい。日本語にしろ、母国で学べばずっと安上がりなのだ。事実、外国人が日本国内の日本語学校を経ず専門学校・大学に留学する場合、当局はビザの発給条件に日本語能力試験「N2」という高い語学力を課している。
明らかに不自然な書類を問題にせず、当然のようにビザが発給され続ける現状は少なくとも筆者から見れば異常だ。高市政権が外国人政策を厳格化するのなら、まずは留学生受け入れの「正常化」を求めたい。

