2026年5月25日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年5月25日

 ムンディ曰く、最初に自律型AIシステムを開発した企業は、流通管理と防衛システム構築を主導すべきだ。アンソロピックとOpen AIは、同社の最新モデルはソフトの脆弱性に付け入る能力が高いので当面流通を制限すると言うが、流出は時間の問題だ。

 ムンディ曰く、これは既に米中両国の現実の危機であり、米中は協力すべきだ。ニクソン・毛の時代にはソ連という共通課題故に協力できた。現在も自律型AIによる非対称サイバー攻撃リスクという共通課題に直面している。

 米中両政府は、I7(アンソロピック、Open AI、ByteDance他、全7社の米中テック企業)と協働し、新AIシステムから最良を得て最悪を防ぐ方策を検討すべきだ。政府も企業も単独では対処できない。

 トランプは、AIモデルの公開前検査義務化を検討中と報じられる。それは賢い。民間企業が核分裂を行える時代だ。ムンディ曰く、核分裂が電力も爆弾も作れるように、自律型AIは非対称的兵器を作り得る。

 自律型AIはトランプ習会談の議題になるだろうが、議論では不十分で、共同対処の決断を今しなければ手遅れだ。これは人類が生き残りをかけ地球規模で協力すべき史上初の問題だ。我々の運命は融合し、複雑で順応可能な連合を作らなければ、一緒に圧倒される。

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現実的な壁

 フリードマンらしい説得力と構想力のある論説である。1972年のニクソン・毛首脳会談の際は、ソ連という共通の敵が協力を促したことに準え、現在、米中が共同対処すべき共通の敵として自律型AIの画期的サイバー攻撃能力を上げ、会談で具体的共通対処策を見出すことを強く勧めている。

 なお、サイバーの世界で核兵器と同様に「相互確証破壊」が成立しているとの指摘は興味深い。ただ、以下、現実的視点からコメントしておきたい。

 第一に、これは本当に米中の共通課題なのだろうか。いまだに両国とも相手より一歩先を行き、少しでも技術的優位を得ようと競争しているのではないか。


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