2026年5月25日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年5月25日

 最先端の半導体やその制作に必要な産業機械や汎用品の流通に規制の網をかけるという最近の競争実態は、自律型AIについては、米中で共同対処しようという呼びかけに説得力を与えない。そして、そのような競争の中で、中国は西側の技術や物資を使わずして独自の技術を開発し、自らに一日の長があると考えているとしても不思議ではない。

 このような議論をしているから融合した人類の運命は悲劇的結末を迎えるのだとフリードマンに怒られそうだが、やはり、中国がこのような提案に応じるためには、米国から何らかの持ち出し、例えば、対処のみならず「開発」「生産」においても協働するくらいの意思が無ければ上手く行かないのではないか。

議論はなされたのか

 第二に、米国でこのような規制が本当に実現するのか。トランプ政権では、テックジャイアントが大統領令の内容まで書いていると言われる。対欧関係悪化の原因も、EUが米国のテックジャイアントに不利な規制を頻発していることだろう。

 自律型AIが非対称的サイバー攻撃「兵器」を作ることを止めるためには、流通、開発、運用に対し相当幅広い規制をかける必要があるだろう。テックジャイアントがこれを唯々諾々と受け入れるとは思われない。

 第三は、そもそも、今回の米中首脳会談で自律型AIの議論まで行きついたのか。実際、主な議題は、米中の経済問題で、中国が米国からボーイングと大豆を購入するというものだった。イラン情勢についても討議されたが、思った程の中国の役割は期待できなかったようだ。

 一方、自律型AIの活用に関しては、日本国内で、「予算資料作成など府省庁500業務に自律型AI活用 政府、26年度から」との日本経済新聞の見出し記事があった。もちろん官僚の業務量が減ることは悪いことではないが、この自律型AIの技術が持つ負の側面や世界的には規制の動きがあることを十分勘案した動きだと信じたい。

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