2026年6月22日(月)

エネルギー依存国家・日本

2026年6月22日

 天然ガス採取は、主に「ガスリフト方式」というものが採用されている。一度採取した天然ガスの一部をコンプレッサーで圧縮して地下に送り込み、地層にある「かん水」をくみ上げるというものだ。ガス井から採取された、天然ガスを含む「かん水」は、水と天然ガスを分離する「セパレーター(分離槽)」がある基地までパイプラインで運ばれる。

 天然ガスが分離された水をなめさせてもらった。とても塩辛く、これが太古の塩水かと思うと感慨深くもある。

 しかも、この塩水にはまだ利用価値がある。「ヨウ素」を取り出すことができるのだ。ヨウ素は、うがい薬や殺菌剤、防カビ剤、さらに次世代太陽電池として期待されている「ペロブスカイト太陽電池」の材料としても使用される。「『かん水』の塩分濃度は海水とほとんど同じなのですが、ヨウ素濃度は2000倍近くもあります。実は、日本はチリに次いで世界第2位のヨウ素生産国でもあります。千葉県だけで世界25%のヨウ素を生産しています」(同)。

天然ガスは現在の生産量で
600年分もある

 最後にK&Oエナジーグループ代表取締役の緑川昭夫さんに話を聞いた。現在の生産量で600年分の可採埋蔵量があるという。であれば、もっと増産して他の地域にも供給して欲しいと思ってしまうが、そう簡単なことではないという。

 「地盤沈下との因果関係は証明されていませんが、地下から『かん水』をくみ上げるため千葉県と協定を結んでいます。これを遵守するため、大量に『かん水』をくみ上げることはできません。現在、380本ほどのガス井がありますが、生産量の減少分を補い、維持増産を図るため、毎年数本ずつ新規掘削を行っています」

 K&Oエナジーグループの事業会社である、都市ガス会社の大多喜ガスでは千葉県産の天然ガスを約18万戸に供給している。外国産の天然ガスは、液化天然ガス(LNG)にしてタンカーで運ぶため、コストがかかる。〝千葉県産〟ならこのコストは不要になるため、割安になるのだろうか。

 「当社も大口工業用等のお客さま向けのガスについては輸入したガスを使用しているので、やはり国際情勢の影響を受けて価格は変動します。一方で、県産天然ガスを使用している一般家庭向けのガスについては為替変動リスクや原料費調整がないので、LNGを原料としているガス会社と比較すると、標準的なご家庭で利用する場合、月1000円程度安くなります。

 2022年のウクライナ侵略以降、価格差が広がり、いったん収まっていましたが、イラン問題で再び価格差が広がっています」

 地産地消ならぬ「千産千消」の天然ガスは持続可能な形での利用が続けられているのだ。

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Wedge 2026年7月号より
エネルギー依存国家・日本 持たざる「弱み」を「力」に変えよ
エネルギー依存国家・日本 持たざる「弱み」を「力」に変えよ

ホルムズ海峡の事実上の封鎖により、世界のエネルギー情勢に激震が走った。日本はこれまで気候変動対策や脱炭素をより重視する姿勢を貫いてきた。しかし、従来の「前提」を根底から見直す局面に立たされている。また、各地で原発の再稼働が進みつつあるが、「核燃料サイクル」実現を進めていくうえで、課題は山積している。だが、思考停止に陥ってしまえばこの現状を打破することはできない。今こそ、日本は「ひよわな花」であることを自覚し、持たざる「弱み」を「力」に変えていく時だ。

 


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