半導体だけではない
新会場で感じた〝胎動〟
この動きを受け、展示会場にはPCやデータセンター向けの製品に加え、ロボティクスが大きな存在感を持つようになった。ただし、ヒューマノイドやドローンに関して、台湾はまだまだ後発であり、中国などのロボット展示会と比較するとその内容は目を見張るほどのものではないという印象だ。
世界貿易センターに置かれたロボティクス関連の会場ではいくつかのヒューマノイド展示はあったものの、主力はまだロボットアームや配達型の車輪付きロボットだった。その中で注目されたのはEverMira社の「ODin」というシリーズである。特に「スマートリテイルスペース」と名付けられた製品は、355×410センチ・メートルというコンパクトなスペースにAIロボットを据え付け、客がQRコードで注文した飲み物をロボットが作ったり棚からピックアップして手渡すというコンセプトだ。ロボットは身長173センチ・メートルで重量は85キロ・グラムだという。
この製品はロボットを組み込んだパッケージとして販売される予定で、今後数カ月以内に台北市内で実際に運用されるという。
このほか工場内で人と協業する仕分けロボット、倉庫内の配送を行うロボットなども展示されていたが、完全な自律型ヒューマノイドはまだ開発途上にある。
ただし、今回ロボティクスが独立した会場で展示されたことの意義は大きい。この会場には独BMWと提携して車の車体の色を自在に変えられる技術を開発するE Ink社などの展示もあり、今後この分野に自動運転車両などの展示が加わってコンピューテックスの在り方そのものが変化していく可能性が感じられる。
コンピューター関連の製品展示会として始まったコンピューテックスだが、台湾が世界の半導体、AIインフラの中心となった今、その規模はさらに拡大していくだろう。何よりもエヌビディア、インテル、クアルコム、米AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)などの世界をリードする企業が集結することが、台湾の世界における重要性を誇示する形になっている。
会場には日本企業のブースも並び、キオクシアなど大規模な展示で存在感を示す企業も見られた。しかし、注目度という点では、やはり世界の〝覇者〟たちに一日の長があったと言わざるを得ない。
日本でも台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出やラピダスによる先端半導体の量産計画など、新たな挑戦が始まっている。AI革命が次の段階へと進む中、日本がこうした変化を取り込み、独自の存在感を発揮できるか。今後の戦略と実行力が問われることになる。
