ウクライナ側も負けていない。ゼレンスキー大統領は、建国250周年に対する祝辞をXで公表するとともに、トランプ大統領と電話会談し、停戦のために米国の役割が極めて重要であることを強調した。後日、トランプ大統領は、ゼレンスキー大統領の電話会談を高く評価した。
そして迎えたアンカラNATOサミット。7月8日に実施されたトランプ・ゼレンスキー会談において、トランプ大統領自身が25年2月のホワイトハウスでの喧嘩腰のやり取りから現在に至るまでの間、ゼレンスキー大統領とは「信じられないほど良い関係を築くことが出来た」としみじみと振り返った。何より重要なことは、トランプ大統領がウクライナによる中・長距離攻撃が停戦に繋がるとして容認したこと、ウクライナ側が欲していたパトリオット・ミサイルのライセンス生産を公に認めたことである。会談後のゼレンスキー大統領の発言によれば、米国はパトリオット・ミサイルの追加供与も約束した。
NATOサミット後にウクライナを訪問したトランプ大統領の盟友のグラハム米連邦上院議員(共和党)は、7月10日、同議員が中心になってまとめた新たな対露制裁法案にホワイトハウスも同意したことをキーウで発表した。開戦以来、何度もキーウを訪問して、ゼレンスキー大統領を励まし、ウクライナ支援をリードしてきたグラハム議員であるが、帰国後の7月12日に大動脈解離で急死した。謹んで故人の冥福をお祈り申し上げる。
重要な夏を迎える
有利な戦況を背景にしたウクライナとロシアによる米国を挟んだ外交駆け引きは、現時点では、ウクライナに有利に展開している。権威主義国家ロシアにおいてすら、厭戦気分の高まる世論を無視し続けることは出来ない中、9月中旬にロシアは、下院選挙及び地方選挙を迎える。
ロシアが効果のうすい人海戦術と大規模空襲を徒に継続するのか、それとも真の停戦交渉を受け入れるのか。重要な夏を迎えている。
