なぜ、日本の「対中感情」は悪化するのか?
――本書によれば、高市首相の対中国の高姿勢の裏には、「中国に毅然と対峙」するのを「正義」と捉える日本の世論がある?
「23年の世論調査では、中国に“良くない”印象を持つ日本人は92.2%います。なぜそうなるかといえば、日本のメディアが日中の対立を日頃あおっているからです。先程の中国の“平和統一を願うが武力行使も辞せず”でも、いつも後半のみを強調し中国=好戦的と押し出す。たまたま日本人が無差別殺傷事件の被害者になると、すぐに“(中国に)渦巻く反日感情”と」
――どうして、そうなるんですかね?
「日本のメディアにとって、中国はイージー・ターゲット、叩きやすい相手なんですね。どんなに対立をあおり、悪口を書き連ねても、中国政府がそのことに対して訴訟を起こすわけでもない。“やり得”なんでしょう」
一方、25年10月末の米中首脳会談で、トランプは米中をG2(2大国)と呼んだ。それまでの封じ込め政策を転換し、共存へと歩み寄ったと冨坂さんは解釈するのだ。
――短期間で中国がここまでのし上がってきたのは、国内での過当競争もあった? ロボット生産の企業が、約93万社もあると本書で知ると、そんな気もするのですが。
「それはあります。今の中国で金儲けするには、まず政策と結びつくこと。その流れに皆乗ろうとするため、脱落者が続出です。ごく少数の勝者の後ろには死屍累々ですよ」
――中国の経済に関しては、不動産不況や消費の低迷も報道されてきましたよね?
「中国の不動産は値上がりを見越して買っておく、いわば年金の役目をしていました。それが暴落し、年金が突然消えた状態になった。当然そうなると、消費は落ち込みます。デフレもあって、庶民の実感している景気は非常によくないと思いますね」
アリババ、テンセント、ファーウェイ、BYD、吉利汽車など、ハイテク業界が「我が世の春」を謳歌している足元で、恩恵を受け損ねている人々も数多くいるのである。
――現在の習近平は国家主席の3期目ですが、すでに任期制限を撤廃しているので事実上は終身です。でも後継者は決まっていません。習の後は今後、どうなるのでしょうか?
「悩ましいところですね。実現したいことをほぼ実現してきた最大の実力者ですからね。ただ、政権のバックアップ体制は整っていると私は思います。誰かわかりませんが、権力の交代はおそらくスムーズでしょう」
――もしも習が急に亡くなれば?
「いきなりの死亡? うーん、やはり相当の混乱は発生しますね、そうなれば……」
米国のピュー・リサーチ・センターは今年7月、世界36カ国の調査で、中国に対する好感度が46%に達し、米国に対する36%を追い抜いたと発表した。
