2026年8月4日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年8月4日

 欧州連合(EU)は、米国のICC攻撃は全く受け入れられない、としている。ICCのような多国間主義は、決断を先延ばしする欧州の性癖そのものだ。もしもギャビン・ニューサムが大統領になった時にICCが今の形で存続していれば、ルビオとトランプに牙をむくだろう。

 国務省は、同盟国にICC脱退を要請し、脱退しない国を「精査」しICCへの制裁を強化すると表明した。このような措置は順を追って実施できない。

 ルビオ長官がICC全体への制裁を実施し、ICC支持国を罰するまでは、米国のパートナーは現状を維持するだろう。米国の同盟国日本はICC最大の拠出国だ。

 ICCが一線を越えて米国の主権を脅す場合日本はICC側に立つのか。ラテンアメリカの親米諸国指導者はどうするのか。

 ICCの政治化と法の濫用、道徳崩壊は、ICCが米国の脅威であることを示している。ICC崩壊を目指すルビオは正しい。

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ICCの役割

 「子供の喧嘩」のようなことはやめてほしい、というのが率直な感想である。

 まず、ICCは国際社会全体の関心事である「最も重大な犯罪」を犯した「個人」を、国際法に基づき訴追・処罰する唯一の常設国際刑事裁判機関だ。国際司法裁判所(ICJ)は「国家」を裁く一方ICCは「個人」を裁く。プーチンとネタニヤフの事例はICJでは裁けない。

 それでは、「最も重大な犯罪」とは何か。それは、以下の4つだ。

① 集団殺害犯罪(ジェノサイド)

② 人道に対する犯罪:広範囲又は組織的住民殺害、奴隷化、強制移送、拷問、強姦等

③ 戦争犯罪:殺人、捕虜の違法待遇、民間人・病院・学校等非軍事目標の民間施設の故意の攻撃等

④ 侵略犯罪:国家指導者等による侵略行為計画・準備・開始・実行(ICCを設立したローマ規程採択後に改正で追加。当事国双方がICC締約国で侵略犯罪に係る改正規定の受諾国か、安保理が付託する場合のみ訴追可能)

 ネタニヤフは、飢餓を利用し「戦争犯罪」などに関わった合理的な根拠があるとして、また、プーチンは、ウクライナ人の子供をロシアに強制移送したことで、「人道に対する犯罪」で逮捕状が発出された。

 さらに、ICCには、補完性の原則という特徴がある。ICCは国内裁判所を「補完する」裁判所であり、関係国に捜査・訴追を真に行う能力や意思がない場合にのみ、管轄権を有する。


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