そのような状況で、ルビオは何を怒っているのか?まず、米国は以上に挙げたような「最も重大な犯罪」を冒す、または冒しているということなのか。そうだとしても、ルビオが言うように、米国内の裁判所や軍事法廷で裁けば良く、その限りでICCが関与する余地はない。
脱線するが、この一連の記事は、判決実施の強制力がないという基本的限界にもかかわらず、ICCの逮捕状発出が効いていることを示している。ウォールストリート・ジャーナル紙は、こと中東紛争については、イスラエルの操り人形のように見える。
過去、イスラエルの極端な主張を支持する社説を何度となく見てきた。今回のルビオの論説記事→社説という流れの背後には、イスラエルがいるように見えて仕方がない。
時あたかも、イスラエルでは10月27日に総選挙が行われるが、現状では、与党リクードは敗北しネタニヤフ首相は首相の座を失う可能性が高い。そもそもICCでは、加盟国域内に逮捕状を受けた人物が入ったら、加盟国はその逮捕に協力する義務を負っているが、プーチンのモンゴル(加盟国)訪問でも明らかなように、加盟国は国のトップの逮捕には大いに消極的だが、辞めれば話は別だ。簡単に言えば、ネタニヤフ首相は、自分が実際に逮捕される可能性を恐れ始めているのではないだろうか。
ICCの権限の限界
一方、ICC側も余り調子に乗らない方が良い。主権国家は全権であり、自身が認めない限りは国際裁判所の管轄権が及ぶことはない。米国はICCの加盟国ではない。非加盟国に管轄権が及ぶのは以下の3つのケースのみだ。
① 非加盟国が受諾した場合: 非加盟国が独自に宣言しICCの管轄権を受け入れる場合(プーチンのケースは、ロシアもウクライナも非加盟国だが、ウクライナが管轄権を受け入れた。現在ウクライナはICCに加盟済み)。
② 国連安保理が付託した場合: 国連安全保障理事会が、国際の平和と安全の維持のために決議でICCに付託した場合。
③ 加盟国領域内で犯罪が起きた場合: 犯罪場所が加盟国なら、犯罪実施者の属する国が非加盟国でも管轄権が及ぶ(パレスチナはICC加盟国)。
何でもかんでも米国を訴えられる訳ではないのである。米国の制裁に反発するのは分かるが、このことを踏まえて、より大人の対応をすべきだ。
もしも米国が本気でICCからの脱退を加盟国に働きかけることになっても、日本を含めほとんどの国はそれに応じないであろうから、それは、米国の影響力を益々下げることになる。実は、これが一番の問題だ。
