2026年8月7日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年8月7日

 こうした中国の動きは、国際的な懸念を高めると共に、米国と地域同盟諸国がインド太平洋全域で戦略的連携を強化する動きにもつながった。米国は、韓国、日本、フィリピン、豪州に軍の事前集積庫を設置し、素早く装備品や弾薬にアクセスできるようにした。また米国防総省はインド太平洋軍を「太平洋軍」に改称すると決めたが、これについてクインシー研究所のサラン・シドーリは、米国がより軍事化された防衛線、とりわけ第一列島線に焦点を絞ったことを示すものだと言っている。

 主要7カ国(G7)諸国、英・仏・独の在台代表機関、そして米在台協会は中国の強硬な行動を批判し、米在台協会は「台湾は70年以上平和的に周辺海域を管轄してきた」と述べ、台湾が周辺海域を管轄する現状を、中国は一方的に変更することはできないことを示唆した。結局、中国の行動が強硬になったことで、台湾海峡、南シナ海、黄海、東シナ海、さらには第一列島線と第二列島線間の海域を一つながりの軍事作戦領域と捉える新たな戦略的概念が出現した。

 台湾有事は日本にとって危機であるだけでなく、西側の民主主義諸国や地域の友好国、さらには国際社会にも影響を及ぼす重大な問題だ。中国はその行動によって台湾海峡の動向を世界の関心事にしたと言える。

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フィリピンが重視する日本との連携

 高市早苗首相とマルコス大統領は、5月28日、東京で首脳会談を行い、共同声明で両国間の 排他的経済水域(EEZ)と大陸棚の海洋境界を確定するための正式交渉を開始することで一致した。

首相官邸ホームページより

 これに中国は反発を強め、日比交渉の対象区域に含まれる台湾東方沖でくり返し海洋調査をし、軍・民間機を周遊させるなど威嚇行動を続けている。Taipei Timesの記事は、中国の台湾周辺海域での覇権主義的言動を列挙したもので、もっともな内容となっている。日本にとって「台湾有事が日本の有事」であることは変わりない。

 仲裁裁判所(オランダ、ハーグ)が、南シナ海での中国の領有権の主張を否定する裁定を示してから今年で10年となった。仲裁を申し立てたフィリピンにとり、裁定は中国に抵抗する重要な法的根拠であり続けている。


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