2026年8月7日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年8月7日

 中国が覇権的海洋進出を続ける中、フィリピンは、裁定を武器に多国間連携で対抗する姿勢を強めている。フィリピン外相は、「裁定は、最終的なものであり、法的拘束力を持つ。交渉や妥協の対象とはならない」と述べ、中国が南シナ海で定めた独自の境界線「九段線」を否定した。

 こうした中、マルコス政権が重視するのは、日本など他国との連携である。マルコス大統領は5月に来日し、日比関係を「包括的パートナーシップ」に格上げすることで一致した。日本としては、海洋法条約の当事国として法の支配の訴えを強化し、関係国との協力関係を主導する必要がある。

 なお、仲裁裁判所判決から10年がたったのに合わせ、茂木敏充外相が出した談話に対し、中国は、日本が米国やフィリピンなどと共同声明を出したことを非難した。中国は「日本は南シナ海問題に歴史的責任を負っており、口出しする資格はない」と非難し、茂木外相の共同声明を「紙屑」と悪態をついた。

中国の広範な海洋権益は法的根拠が無い

 フィリピン、日本、米国、欧州連合(EU)諸国を含む14カ国は、7月12日、南シナ海の領有権をめぐる中国の主張を退けた国際仲裁裁判所の判決から10年目の節目に合わせ、共同声明を発表した。そして中国が主張する広範な海洋権益には法的根拠が無いと表明した。

 台湾の外交部は、日比両国が海洋境界確定の協議開始を決めたことについて、「これを評価する」と表明した。そして中国側が、この海域で一方的に「法執行パトロール」を行ったことに厳正に非難すると表明した。台湾外交部は「中華民国(台湾)と中華人民共和国は互いに隷属せず、中華民国の主権が侵犯されることは、容認しがたい」と強調している。

 
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