なぜ、下刈りは大変なのか
まず下刈りについて説明しよう。植林は、通常春先に行う。この季節なら苗木の周りはまだ何も生えていない。ところが伐採跡地は日当たりがいいため、すぐに雑草や雑木が生えて、夏までに苗木の背丈(30センチ程度)を超える。すると苗木に日光が当たらなくなり、風も通らないので蒸れて枯れてしまいがちだ。
そこで雑草などを刈り払う必要がある。一度刈ればいいのではなく、植えた苗木が草より高くなるまで、5~6年は毎年行うのが普通だ。
しかし伐採跡地だから木陰はなく、直射日光が照りつける。時として立てないほど急斜面もある。そこを、刈り払い機を持って(ベルトで肩からぶら下げる場合が多い)登り降りしなければならない。
刈り払い機だけでなく燃料、そして水筒なども持つから、それなりの重量になる。加えて安全のためにヘルメットやゴーグルの装着は必須だし、服装も長袖・長ズボンの着用が義務付けられている。それらが一層重量を増し、また体内に熱をこもらせるから熱中症のリスクも少なからずある。
一方で間違って苗木を切らないよう注意も欠かせない。しゃにむに刈り払い機を振り回すだけの作業ではないのだ。
過酷なのに高くない賃金
危険も多い。草が生い茂っているから足元が見えないためつまずきやすい。また刈り払い機の刃が石に触れると、石もしくは刃の破片が飛んでくることもある。
毒を持つヘビや昆虫(スズメバチ類など)もいる。さらにマダニやブヨ、ヒルのように吸血性の虫もいるし、最近ではクマの出没も心配されるようになってきた。エンジン音で周囲の様子がわかりづらいため、至近距離でバッタリ遭遇してしまうと恐ろしい。
だが、より問題なのが待遇面なのである。これほど過酷な仕事なのに賃金は高くない。なぜなら植林や下刈りは直接利益を上げる作業ではなく、費用は長期持ち出しになるからだ。だから、ほとんど国や都道府県、市町村などの補助金で賄われる。原資が限られているから、賃金も上がらないわけである。
伐採や搬出の作業では林業機械の普及が進み、意外と体力は使わなくなってきた。また木材生産は利益を生むから、担い手にもそれなりの賃金が支払われる。それに比べて下刈り作業で機械化したのは、せいぜい手鎌が刈り払い機に変わった程度だ。
現場までは車で登れたとしても、作業は人が道具を携えて急な斜面を登り下りして行う。その様子は江戸時代からあまり進歩していない。
これでは再造林や下刈りを手がける人が集まらないのもわかる。

