再造林率100%、新規参入も絶えない現場
しかし、驚くべき現場があった。大分県の佐伯広域森林組合は、管内の再造林率100%を誇り、そのための人員を100人以上抱えている。彼らは植林から下刈りまで植えた苗の世話を見続ける専門家集団なのである。しかも新規参入が絶えない。
きつい作業なのに、なぜ多くの人が参入するのか。理由を聞くと、収入が高いからという。聞けば通常でも年収500万円以上。中には1000万円を超える若者もいた。すでに政府の掲げた目標額を超えているのだ。
無茶な働き方をさせているわけではない。労働時間は1日6時間、休憩をきっちり取り、安全に気をつかっている。休暇も十分にある。なぜ、それでも高所得が可能なのか。
その秘密は、作業効率を高めたからだという。
機械化も中途半端な現場なのに、どうやって効率を上げられたのか。
感心したのは、仕事のスケジューリングに無駄がないことだった。春の植林から毎夏の下刈りを切れ目なくこなしている。さらに獣害対策用の柵づくりや雑木を伐る除伐などを上手く組み合わせて1年間を通して仕事が途切れない。植林を請け負った山は、その後5年間下刈りが必要なので、同じ人が担当する。
するとどこの山がどんな状態であるか把握でき、必要な作業を適時行えるように切れ目なくスケジュールを組めるという。計画的に行うことで作業効率も上がる。そうした山をいくつか担当すれば、将来的に仕事が途切れないという安心感も意欲につながる。
伐採班との連携もしっかりしていた。林業では伐採と植林の業者が違っていると、すぐ植林しないことも多い。伐採後3年ぐらい空くことも珍しくない。しかし、ここでは伐採時に重機をつかって植林のための地拵えまでしてしまう。これも効率を上げている。
中には真夏の下刈りが楽しいという人もいた。「自分が植えた苗を、下刈りなどを通して5年間育っていく様子を自分がコントロールできる感覚」だという。伐採よりも育てる作業に生きがいを感じる人もいるそうだ。
日本林業の問題点
この話を聞いて、日本林業の問題点に気づいた。伐採、搬出、地拵え、植林、下刈り、間伐……一般的な林業現場は、各作業を担う業者が毎回変わる。自分が植えた山を自分が下刈りするとは限らないし、今年下刈りした山を来年もすると限らない。また各作業を担当する業者間の連携も弱い。
同じ山なら地形も覚えて段取りよく行えるが、毎回変わるのではそうはいかない。また山への愛着も薄まるだろう。
加えて作業内容は、行政や森林組合の事務部門が決める。彼らは机上の計画通りに進めたがる。どこで何の作業を何人で何時から何時までに済ませる……といった判断を現場に任せたがらない。しかし、それでは森にとっての最適作業にならないことも多い。
