2024年4月25日(木)

World Energy Watch

2014年8月8日

持続可能で安心な社会を作る努力を

 私たちは持続可能な社会を目標にしている。持続可能の意味は、将来世代が現世代と同等、あるいはそれ以上の生活レベルを享受できることと理解されている。里山で生活可能な一部の人が幸福感を得られても、持続可能な社会を日本で作り出すことはできない。

 自然、里山、大切だし誰もが好む言葉だろう。「マッチョな20世紀」から「しなやかな21世紀」を好む人も多いだろう。しかし、言葉だけで、安心な社会が作られるわけではない。安心な社会は、全ての人に仕事が保証され、生活上の不安がないことが前提だ。里山が作り出す安心は、一部の人だけのものだ。残りの多くの人の安心はどうなるのだろうか。「里山資本主義こそ、お金が機能しなくなくなっても水と食料と燃料を手にし続けるための究極のバックアップシステム」と藻谷はいうが、それは、日本経済が直面する問題を解決し、本当の社会の安心を保証するシステムではない。

 経済活動には、環境問題、雇用、競争、様々な問題が伴う。その問題にすべての先進国は真正面から取り組んでいる。日本だけ、競争は嫌だから里山で生きますと言えば、多くの国民は不幸になるだろう。我々が将来世代を考え持続可能な社会を作り上げるためには、多くの課題に取り組み解決する必要があることをよく自覚すべきだ。理想、目標を掲げることは必要かもしれない。しかし、本当に安心な社会を作ることから逃げることはできない。

[特集]日本のエネルギー政策を考える

  


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