日本がやるべきこと
しかしせっかく日本にとって有利な交渉をしてきていても、肝心のサンマ資源がなくなって行けば元も子もありません。資源調査で今年の資源量が少ないという結果が出ているのですから、それに対応する枠の削減を自ら行うべきではないでしょうか?
昨年(25年)に、予想外にスルメイカの漁獲量が予想外に増えて、漁期中に2回も漁獲枠を増やしてしまいました。今年のサンマは資源量が減っていることが分かっているのですから、資源量に合った減枠を実施するのが筋ではないでしょうか?
台湾・中国は公海の枠が漁獲量に対してタイトです。枠を減らせるのは実質日本だけなのです。
漁獲枠がタイトになると起きやすいこと
漁獲枠は国益に関わります。かつて日本の漁船は77年に200海里漁業専管水域で米国などの主要漁場から排除されていきました。その時に追い出された側としては、スケトウダラ漁をはじめ漁獲枠に対し漁獲量の過少申告に走る傾向にありました。
欧州でも、タイセイヨウバで英国漁船がサバの漁獲量を過少申告して大きな問題になったのが03年でした。筆者は、ノルウェーからのサバの買付数量が計画通りにならないので、当時スコットランドの怪しい現場を見に行きました。
たくさんの英国漁船が、魚価が高いノルウェーより、多少魚価が安くても水揚げ量を誤魔化せて、水揚げ金額を増やせる英国側で水揚げの順番を待っていました。そして違法漁業が摘発されたのちにサバの資源量は回復に向かうことになりました。
英国の違法水揚で、タイセイヨウサバ(ノルウェーサバ含む)の需給関係や資源状態がおかしくなりつつあった時に、ノルウェーと同様もしくはそれ以上に厳格な管理をしているデンマークの大手漁業会社に、なぜ違法操業が野放しなのかと相談にいったこともありました。
その時「クリーンハンズの原則」という言葉を知りました。権利を主張する者は、自らも法や信義に反する行為をしてはいけないという原則です。つまり、他国の漁業を非難できるほどきれいな漁業をしてこなかったということです。
筆者は、今日ではクリーンな漁業をしていると思われる欧州の国々でも、買付の最前線で様々なそうでない部分を何度も見聞きしてきました。タイトな漁獲枠では誤魔化した水揚げ分が利益となります。また、自国の利益ともなるので違反に対してどこも厳格ではないと当時は思ったものです。
サンマの漁獲枠は、日本以外の台湾・中国といった国々の枠は、今年(26年)の漁獲枠は昨年の5%減ということでタイトです。こういった状況下では過少申告が起きやすい可能性があります。そして過剰漁獲が起きた場合は、資源に悪影響を与えてしまいます。

