2026年9月13日(日)

トランプ2.0

2026年9月13日

 大会二日目も共和党関係者が次々登壇した。テキサス州選出のクルーズ上院議員は、ニューヨークのマムダニ市長やミシガン州のアブドゥル・エルサイード民主党上院議員候補を名指しで批判した。

 バンス副大統領の演説は、一部からトランプ第47代大統領の後継を見据えたオーディションと見られていた。その見方を証明するように、会場から「48」という唱和が起きたが、バンスは、「まず中間選挙に集中しよう」と落ち着いてかわした。民主党を「憎悪の政党」と批判した演説は、MAGA派のレトリックを使いこなしたものと概ね好評であった。

 そして最後がトランプの閉会の挨拶だった。トランプは、聴衆に右手を挙げる誓いのポーズをとらせたうえで、「息ができないほど私たちを愛してくれている、アメリカの歴史上最も偉大な大統領に誓います」と唱和させて上で、「私は家族や友人と[投票に]出かけます。とにかくやります。選挙登録されていようがいまいが、どうでもいい。[民主党員]みたいに、とことんズルをしてやる」と誓わせた。

 そして、誓い終わった後で冗談めかして、「投票しなかったらどうなるか、わかってるだろ? 地獄行きだ!それくらい、わかっているはずだ」と述べると、会場が笑いに包まれた。

5000ドル支給の是非

 さて、この1人5000ドルの約束だが、米国市民の成人はおよそ2億7000万人おり、皆に配るとなるとおよそ1兆3000億ドル、日本円で200兆円以上という、日本の国家予算を上回る額が必要となる。これは国家予算が7兆ドルを超える米国にとっても大きな額である。

 しかも現在米国では財政赤字が40兆ドルと過去最高まで膨らんでおり大きな問題になっている。このトランプの約束に、更なる財政悪化を懸念して、米国の長期金利は上昇した。

 民主党関係者はすぐさま反論し、パフォーマンスに騙されてはならないと警告した。カリフォルニア州選出のパディーラ上院議員は、「我々の税金は選挙資金の裏金などではなく、アメリカ国民に票を買収することは違法である」と批判した。同じくカリフォルニア州選出のガルシア下院議員は、今までトランプが約束した配当は、関税収入にせよ、政府効率化省による成果にせよ払われたことはないと、今回も払われないだろうから、国民は騙されてはならないと熱弁をふるった。

 共和党関係者からも批判の声が上がった。賄賂であるとの指摘や、財政規律の立場からのものが目立った。メイン州選出のコリンズ上院議員は、買収政治にみえると批判した。サウスカロライナ州選出のノーマン下院議員やテキサス州選出のロイ下院議員は、インフレを誘発する赤字支出は望まないと述べた。ただ、共和党指導部は、「その時が来たら考えよう」とはぐらかした。

アメリカメディアの反応

 マスメディアは、大統領が突然ぶち上げた提案を挙ってトップで取り上げた。ABCニュースも、看板キャスターのデヴィッド・ミューアがトップで報じた。民主党議員の批判的な論調を中心に紹介し、トランプ側から5000ドルを配布する資金の出所の説明も、どのような仕組みかも説明がなく、これによって政府債務がどの程度膨らむのかにも言及がなかったと報じた。

 NBCもCBSもトップで扱い、NBCは緑色に光る「$5000」という数字を画面に映し、その実現性を検証した。そして民主党議員が「選挙の年の非現実的なパフォーマンスだ」と説くシーンを映し出しともに、「非現実的なパフォーマンス」という言葉を何度も使用した。


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