なぜ、これほどまでに価格の乱高下を繰り返すのか? その最大の原因は農水省が改正食糧法という法律を作り、巨額の税金をつぎ込んで生産調整を行うなどしても需給を安定させられていないからである。
コメ市場の整備なくして価格の安定はない
農水省は、与党自民党に配布した「食糧法改正の背景と概要」の中で、米価高騰の要因と対応の検証として「生産量(玄米ベース)は足りているとの認識の中で、 ①流通実態の把握に消極的であり、マーケットへの情報発信や対話も不十分。 ②政府備蓄米についても、不作時に備蓄米を放出するというルールの下、放出時期が遅延。こうした対応の下で、卸売業者等の不安感を払拭できず、更なる価格高騰を招致」としている。
その上で今後の方向性として①需給の変動にも柔軟に対応できるよう、官民合わせた備蓄の活用や、耕作放棄地も活用しつつ、増産に舵を切る政策への移行②農地の集積・集約、大区画化や、スマート農業技術の活用、新たな農法(節水型乾田直播等)等を通じた生産性の向上③米国の関税措置による影響を分析しつつ、増産の出口としての輸出の抜本的拡大④精米ベースの供給量・需要量や消費動向の把握等を通じた、余裕を持った需給見通しの作成と消費拡大⑤流通構造の透明性の確保のための実態把握や流通の適正化を通じた消費者・生産者等の納得感の醸成⑥作物ごとの生産性向上等への転換、環境負荷低減に資する新たな仕組みの創設等を通じた水田政策の見直しー―をあげている。
米価高騰の要因として挙げているマーケットの不透明性は、すでに述べてきたように、農協系を代表とする概算金の運用実態であり、それへの誤解である。その解決につながり得る価格を形成する現物市場や価格平準化作用のある先物市場への言及は全くない。需給情勢を反映するコメ市場を整備して、ここで形成される価格を生産者、流通業者、需要者に発信することによってはじめて「価格に見合った生産や需要」が実現できるのである。
その解決策は、「増産」や「スマート農業」「輸出の拡大」などではない。コメの市場整備をなくして需要に見合った生産などできるはずはなく、このままではまた価格の乱高下を引き起こしかねない。
