2026年9月16日(水)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2026年9月16日

真逆のアプローチで同じゴールを目指す

 そこで返ってきたのが冒頭の言葉だった。

 米国はAIの次のステップとしてフィジカルAIを認識しているという。国際カンファレンス「NVIDIA GTC 2025」では次のように整理されている。

 2010年代に発展したディープラーニングによって画像や音声を認識できるようになったのが知覚AI。そこからChatGPTをはじめとするテキストや画像、動画などを作り出せる生成AIへと発展した。さらに単発の回答ではなく、自律的に計画し複雑なタスクをこなすエージェント型AIが生み出されている。

フィジカルAIへのアプローチは日本と米国で異なる

 この次は物理世界を認識し関与するフィジカルAIへと発展するというのが米国で主流の考え方だ。「つまり、米国ではAIの流れからフィジカルAIを考えている。ですが日本はロボティクスからの連続という発想だ。つまりフィジカルにAIをくっつけるという、米国とは真逆のベクトルにある」とマットは指摘する。

 国際ロボット連盟(IFR)によると、日本は世界の産業用ロボット生産の38%を占める最大の生産国で、製造業も高度に自動化されている。トヨタに代表される自動車産業なども、こうした製造業の高度化を武器として成長してきた。この日本の強みをAIで進化させるのが日本のアプローチだというわけだ。

 そう考えると、日米のフィジカルAIの「見た目」の違いも理解しやすい。人型ロボットのように、AIの能力を生かす新たな器を作ろうとする動き。一方で、工場ですでに働いているロボットにAIを組み込み、できる仕事を増やそうとする動き。

ロボットの見た目から、国によって異なる

 もちろん、日米をきれいに二分できるわけではない。それでも、何を出発点にするかという違いは、目指す製品の姿にも表れるのだろう。

「アプローチの違いは、目的意識の差から生じたものだ。AIに体を与えるという技術的探索に重きを置く米国と違い、日本は現状の優れたオートメーションをより効率的な方法で拡大することを重要視している。ファンシーなロボットにダンスさせるような遊び心は日本にはあまり見られない」とマットは話す。


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