Foreign Affairs誌(9月/10月号)は、米国の同盟網の将来についての悲観論に反論を加え、新たな同盟の秩序への道が動き始めているというカート・キャンベル(元米国国務副長官)とラッシュ・ドッシュ(ジョージタウン大学外交学部安全保障学助教授)の論文‘How Alliances Survive’を掲載している。
この論文は、第2次トランプ政権によって米国とその同盟諸国との関係が深刻な打撃を受けているが、同盟体制は崩壊するよりも、むしろ新たな形へ再編される可能性が高いと論じる。筆者らは、現在の悲観論が「米国同盟の終焉」を過度に強調していると批判し、その理由として、①同盟は過去にも深刻な危機を乗り越えてきた、②中国・ロシアという共通の脅威に対する認識が強まっている、③経済・技術・軍事面での相互依存が依然として強固である、という三点を挙げる。
現在、トランプ政権は北大西洋条約機構(NATO)からの離脱の示唆、欧州駐留米軍の削減、同盟国への高関税の賦課、同盟国の政治への介入などを行い、米国への信頼を損なっている。そのため特に欧州では「戦略的自立」、アジアでは独自の核抑止力などを模索する動きが生まれている。
しかし筆者らは、こうした「予防策」は必ずしも同盟からの離脱を意味しないと指摘する。米国の同盟関係は、スエズ危機、フランスのNATO統合軍事機構からの離脱、ニクソン・ショック、プラザ合意など、過去にも大きな政治・経済的衝撃を経験してきた。それでも同盟が存続し得たのは、信頼感といった感情的な繋がりだけでなく、安全保障や経済などの「ハードな」利益によって結びついているからである。
特に重要なのは、中国とロシアに対する同盟諸国の脅威認識の共有が収斂しつつある点である。欧州はロシアのウクライナ侵攻を通じ、中国を単なる経済相手ではなくロシアを裏で支える戦略的競争相手として認識するようになった。
