2024年6月20日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年8月15日

 そして、人民解放軍の大規模演習が始まった。開始されたのは、徐才厚が党籍剥奪処分を受けた後の7月である。各軍種及び大軍区の高級将校たちとは既に手打ちもできている。習主席は、江沢民の影響を排除し、軍内をある程度掌握したからこそ、厳しい訓練を人民解放軍に強要することが出来るようになったとも言える。

改革は成し遂げられるか

 軍内の腐敗が正されて予算が適正に執行され、本気で訓練を重ねれば、人民解放軍は、本当に手ごわい軍隊になるだろう。しかし、またもや、「しかし」である。これまで、中国ではこうした改革が成功した試しはない。現在でも、面従腹背の状況は改善されていない。

 2014年7月16日に開かれた国務院の幹部会議で、李克強首相が、各省庁及び地方の幹部に怒りをぶちまけた。「いくつかの地方や部門は仕事の手配は重要そうにやるが、実施するときは手軽にやる」、「困難にあうと避けて通る」、「なまけたり、手を抜いたりする」、「形だけ実行する者がいる」等の李克強首相の表現は、中国指導部の指示に対する各部の面従腹背ぶりを示すものだ。

 人民解放軍も例外ではない。軍は、自ら「ようやく真面目に訓練するようになった」とは言えないだろう。出来る段階にないものを出来ているように見せる可能性もある。この段階で統合演習などを実施したとしても、結局、中身を伴わない表面的なものに過ぎない。しかし部隊は、中央に自らの功績をアピールするために、「高度で困難な訓練」を実施したと誇張しがちなのだ。

 また、面子のために演習の本当の目的を言えないとすると、別の理由を付けてくるかも知れない。対日牽制である。したがって日本は表向きの理由に過度に反応する必要はない。必要とされるのは、人民解放軍の「訓練の実戦化」がどの程度実現されるのか、現在展開されている演習を注意深く見守ることだろう。


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