エネルギー問題を考える

2014年9月17日

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竹内純子 (たけうち・すみこ)

NPO法人国際環境経済研究所理事・主席研究員

慶応義塾大学法学部法律学科卒業。1994年東京電力入社。2012年より現職。水芭蕉で有名な国立公園「尾瀬」の自然保護に10年以上携わり、農林水産省生物多様性戦略検討会委員や21世紀東通村環境デザイン検討委員等を歴任。その後、地球温暖化の国際交渉や環境・エネルギー政策への提言活動等に関与し、国連の気候変動枠組条約交渉にも参加。自然保護から原子力損害賠償制度を含むエネルギー政策論まで幅広く、活動・提言を行なっている。消費生活アドバイザー。著書に『みんなの自然をみんなで守る20のヒント』(山と渓谷社)、『誤解だらけの電力問題』(ウェッジ社)。日経ビジネスオンライン「アベノミクスをコケさせない処方箋」

「電力会社のサボタージュ」?

 また、後半部分では、関西電力のメーターの仕様にブレーカー値が入っていないことを「電力会社は、(中略)新しくどんなサービスができるようになるかという視点でスマートメーターの仕様をつくっていない」と批判している。しかし、新しいサービスがどんなものになるかなど誰も分からない。東電のメーターにはブレーカー値が入っているのは、現に数千万軒の需要家がブレーカー契約をしているからであって、自由化後この様な契約が関西地域においても主流になるかは誰も分からない。関西地域でそのようなニーズがあるなら、HEMSにブレーカーの機能を持たせればよい。

 おしなべて全ての需要家が備えなければならない設備に、どの程度活用されるかはっきりしない仕様を実装してしまうのは、スマートメーターを過大な機能を搭載したメタボなメーターにすることであり、無駄が生じるリスクがある。日本の家電製品は、消費者が使いこなせるかどうかは別としてとかく高機能化し、その結果消費者からすれば「無駄に高い買い物をさせられた」と思うことも多い。スマホにしてもテレビ、DVDにしても、その機能の3割も使いこなせていないのだろうとため息をついたことがあるのは私だけではないはずだ。

 その点、メーターの機能は必要最小限に、高度な機能は、個々の需要家のニーズの違いにより柔軟に対応できるHEMSに期待、という今の考え方は合理的であり、電気という究極の生活財、生産財のメーターのあり方として適切であると筆者は考える。

 また議員は、同日のブログの中で、電力会社のサボタージュと称して、次の事例もあげておられる。

○ 電力の自由化は安倍内閣の三本目の矢の目玉の一つだ。が、電力会社が必死にサボタージュをしようとしている。例えば楽天リサーチによるインターネット調査によれば、男性の25%、女性の33%が「電気代に関わらず原発を保有する従来の電力会社を選択したくない」と答えている。
○ 数字はともかく、それなりの数の消費者が自由化されれば電力の購入先を変えたいと思っているのはまちがいないだろう。そこで問題になるのは、携帯電話を乗り換えるようにワンストップで電力会社を乗り換えられるようになるかどうかだ。
○ 専門家によれば、乗り換えは簡単で、自宅の電力のメーターの番号を新しい電力会社に通知すれば手続きは終わるそうだ。しかし、これに既存の電力会社が難色を示し、なりすましの恐れがあるからきちんと確認ができるようにしないとだめだと主張している。
○ そもそも現在の電力のメーターは、検針員が確認をするために屋外に設置され、そのために雨風をしのぐためのスペックが必要になっている。屋外の人の目に触れるところに設置してあるメーターだと、誰でも番号を読み取って、なりすますことができるから、様々な対策が必要だというのが既存勢力の主張らしい。
○ しかし、現在の通信環境であれば、屋内の配電盤に小さいメーターを設置し、データを飛ばせばよいので、誰でも番号を読み取ってなりすますことができないようにすることは簡単だ。

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