ヒットメーカーの舞台裏

2014年11月3日

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池原照雄 (いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

 いくつかのスマホのアプリを利用してみて東山が感じたのは「あくまでも電話機のひとつの応用機能。名刺管理に特化した専用ツールにはかなわない」だった。社内でもそこを強くアピールし、商品化を引き寄せた。

 初期の企画段階のスケッチを見せてもらったが、外観はほぼ製品化されたものと変わらない。ただ、ハード、ソフトともにそれぞれの難題を克服しながら完成度を高めていった。

東山慎司さん( Shinji Higashiyama)
(商品開発部開発二課 リーダー)
1985年生まれ。2008年千葉工業大学工学部デザイン科学科卒、キングジム入社。以来、開発本部で、おもに今回のメックルのような「デジタル文具」を担当している。「自分が欲しい」と思うモノを企画・開発して商品にできるのは、この仕事の「醍醐味」という。

 ハードで一番こだわったのは、検索時に回すダイアル本体だった。ユーザーが、最も触れるパーツであるため「耐久性の確保に加え、手触りや回す時の力の入れ具合など感性部分にも配慮した」。このため、ダイアルが付いた家電用リモコンなどの中古品を集めたり、客を装いながら家電量販店で高級オーディオのダイアルを触ったりして理想の仕様を探し求めた。

 ソフトではダイアル操作によって切り替わる名刺の画像が、ストレスなく操作に追随するよう、外部のプログラム開発者と苦心を重ねた。その結果、開発終盤になってハードの頭脳であるCPUを当初よりグレードアップするという決断も下した。

 東山にとって今回の商品企画は、5作目。製品化までの1年半は「スケジュール管理などこれまで学んだことも生かすことができた」と振り返る。今後の自信につながる実り多き日々でもあったようだ。(敬称略)

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◆Wedge2014年10月号より

 

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