2024年12月5日(木)

日本の漁業は崖っぷち

2014年11月4日

 ノルウェーのマダラの漁獲枠の配分方法を例に取ると、資源が減り、漁獲枠が減少傾向になる時は、小型船の枠ほど減少の幅が小さくなります。一方で、資源が増加傾向になると、漁獲能力が高い大型船への配分が多くなります。漁獲枠は、近場で漁をする小型の沿岸船と沖合で漁獲するトロール船に分類されています。漁獲枠が10万トン以下の場合は、沿岸船に80%、トロール船に20%を分けます。一方で、漁獲枠が30万トンを越えるような豊かな資源状況の場合は、トロール船に33%の漁獲枠を割当てます。

 つまり、資源が少ないときは、沿岸船優先、多いときは、トロール船への割当が増えるようになっているのです。

 日本の場合は、離島対策として、離島枠のような漁獲枠を設定して、資源と離島の漁業者を守る政策も有効だと思います。日本では、船の大型化が過剰な漁獲を招くという概念から、漁船の大きさを制限する傾向があります。しかし、肝心なのは船ごとに漁獲できる量が個別に決まっていることです(=アウトプットコントロール)。

 ノルウェーでは、漁船の大きさによってカテゴリーが分かれています。小型の漁船の漁獲枠を大型の船に割り振るようなことはできません。大型船だけとなれば、その地域を支えてきた漁船が、他の地域に行ってしまう可能性が考えられるからと思われます。漁船が大型化することで、資源が減るどころか安定し、労働環境が良くなりかつ安全。問題の本質は、漁船の大きさではなく、資源量に対して漁獲する量なのです。このやり方であれば儲かり続けることができます。地方創生のためには、水産資源を守り、すでに成功している北欧の資源管理に学ぶべきです。

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