退職後は、井口さんが子どもの送り迎えを滞りなく行うことができた。仕事のほうでも05年に『スティーブ・ジョブズ 偶像復活』という、ジョブズ氏非公認の伝記本の翻訳を担った。「学生時代にプログラミングのバイトをして以来、ITは趣味で勉強し続けていました。ITとビジネスが両方分かる人間ということで、私が選んでもらえたのです」。
井口さんが最初に手がけたジョブズ本『スティーブ・ジョブズ 偶像復活』(ジェフリー・S・ヤング、ウィリアム・L・サイモン著、東洋経済新報社)と、その原書
この本が評判となり『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』(カーマイン・ガロ著、日経BP社)につながった。公認の伝記では、知り合いの編集者から「今回はどこが(出版権を)落札したのか分からない」と聞いて、「自分が担当するのは無理かも」と危惧したが、無事に依頼を取ることができた。
「サラリーマンは、会社人生以外の世界を構築しておくことも大事です」と井口さん。趣味一つとっても何をしたらいいか分からないという人も少なくないはずだが「まずは、仕事と思ってやってみれば始めやすいですよ」とのことだ。
(撮影:井上智幸)
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