作家の久米正雄が造語した「微苦笑」という言葉がある。微笑と苦笑を合わせた微妙なニュアンスである。
恋におちた花笑の表情は、微笑から苦笑、そして微苦笑へとめまぐるしく変わる。
田之倉にメールを送っても返信がないままに、明け方を迎える。人生で初めての徹夜となった。携帯電話それもガラケーをお風呂場近くや洗面台のそばにおいて、メールを待つ花笑がいじらしい。
会社に出勤すると田之倉は欠勤で、大学の試験のためであることがわかる。
そして、花笑からのメールに気づかなかった田之倉から返信がある。
田之倉と一夜を過ごして、出勤を急ぐ花笑と朝尾(玉木)が道で出会って、こう忠告する。
「きのうと同じ服で出勤すると、相手もそうだと、すぐにばれるよ」
花笑は会社を休む。「きょうは会社休みます。」である。
眼鏡、ガラケー……
小道具での演出
「こじらせ女子」の演出の小道具もこっている。ガラケーがそうである。そして、花笑が田之倉と交際を始めると、眼鏡をはずして、服装も変わる。
田之倉がちょっと前のバイト仲間の女子大生と仲良く話すのをみると、翌日は眼鏡に。
感情をセリフだけでなく表現することで、しゃれたコメディとして仕上がっている。
朝尾のアドバイスに花笑は動揺する。「こじらせ女子」はその言葉の意味がわからない。
「重い女になっちゃだめだよ」
「重い女って?」
田之倉の部屋に初めて誘われて、ベッドの下にピンク色のシュシュがあるのを見つけた花笑は、怒って帰ってしまう。
「重い女になってしまった」