田部康喜のTV読本

2014年11月12日

»著者プロフィール
著者
閉じる

田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 そんな花笑の気持ちを救ったのは、田之倉だった。だまって部屋のカギを差し出す。「いつ来てもらってもいいですから」。

 夜の遠景に観覧車の明かりを配した港のそばで、抱き合うふたりがほほえましい。

 ふたりの恋の成り行きはどうなるのか。そして、朝尾は花笑を奪うことができるのだろうか。企業のCEOとして活躍し、高級外車を乗り回す彼と結ばれるなら、シンデレラ物語だが、ドラマの進展はそう単純なものではなさそうである。

現代の女性の恋愛観が象徴的に描かれる

 「こじらせ女子」のキーワードは、現代の恋愛観を象徴的に示している。「結婚適齢期」という言葉は死語になろうとしている。

 若い男女にとってばかりではない。花笑の恋愛をやさしくみつめる父・青石巌(浅野和之)と母・光代(高畑淳子)も、そうした時代の変化を受け入れがたく、そして受け入れようとしている。

 セレブとの結婚を狙って、朝尾に近づく花笑の同僚の大川瞳(仲里依紗)も現代の恋愛観の一端を示す女性である。

 脇役陣のほのぼのとしたセリフや表情も、花笑の恋の行方を明るいものに照らし出しているようだ。

 瞳役の仲は、NHKプレミアムドラマ「昨日のカレー。明日のパン」では主役を演じている。夫を7年前に亡くしても、義父(鹿賀丈史)と暮らす20代のOLを演じている。義理の叔母にあたる歯科医(片桐はいり)は独身、近所付き合いの元キャビンアテンダント(ミムラ)は表情から笑いを失っている。

 このドラマもまた、さまざまな現代女性の生き方がほのぼのとしたタッチで描かれている。

 「女子」はいまのドラマの大きなテーマになっているようだ。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る