2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2015年2月16日

 野村アーテック(東京都品川区)専務の野村英起さん(39)はツアーで意識が変わった。

 「フィリピンの大学生との交流の中で、初めて外国人と話し、笑いあうことができた。技術の説明をすると自分が思っていた以上に自社に関心をもってくれた。きちんとアクションを起こして伝えようとすれば海外にもビジネスチャンスは確実にある。今回のツアーで得た感動を社員にも伝え、今後は海外を担う人材を育てていきたい」

台湾企業の工場で海外のものづくり現場を見学

社内にも広がった海外への意識

 新さんは栄鋳造所に人材育成の経験を買われて3年前に入社した。「海外への販路拡大」は栄鋳造所にとっても課題だった。しかし、それに向けて動く人材が社内にはいなかった。新さん自身、海外経験があるわけではなかったが、「誰もやらないなら自分がやる」と手を上げた。

 改革は簡単ではなかった。社内には旧態依然とした体質があり「うちの会社が海外なんて無理だ」と言われたこともあった。会社を変えるために社長と連日連夜議論を重ねた。

 「本気で海外に出る意志があるのなら、社内の人選も変える必要がある」。その甲斐あって同社は昨年、売上の半分以上が海外比率になった。意義深いのは会社内部に生まれた変化である。市場が増えることで社内の社員の海外販路開拓への意識も変わりつつある。

 大宮さんや川崎さん、そして視察ツアー参加者。当初は海外に疑心暗鬼だった会社の社員たち。新さんが発火点となって、中小企業を担う経営者や社員にも海外に向けて歩み出す波が生まれている。

  
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◆Wedge2015年2月号より


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