これは野心的なことであるが、共和党も民主党も国益を守る行動のために協働しうる。これを実現するためには指導力がいる。ホワイトハウスと議会の双方が、党を超えて協力し、国益のためには分裂すべきではない、と論じています。
出典:Michèle Flournoy & Richard Fontaine ‘The steps a divided government can take to protect national interests’ (Washington Post, January 16, 2015)
http://www.washingtonpost.com/opinions/the-steps-a-divided-government-can-take-to-protect-national-interests/2015/01/16/312d2f6e-9cf9-11e4-bcfb-059ec7a93ddc_story.html
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この論説は、外交・安保政策を超党派で国益を踏まえ展開すべきであるとの正論を述べ、具体的に、共和党、民主党及びオバマ政権が協力しうる分野を列記したものです。
中間選挙で共和党が躍進し、議会が上下両院とも共和党の支配下に置かれる中で、オバマ大統領は、議会との関係をどうするのかの課題を抱えています。移民問題では、大統領令で自分の考えを押し通そうとし、共和党主導議会と対決していますが、ホワイトハウスと議会が対立し、その結果、米国の政策展開が一種の麻痺状態になることは、世界にとって望ましいことではありません。こういうことにならないようにと、この論説は説いています。その通りでしょう。
フロノイは民主党支持者で、オバマ政権で国防次官を務めた人であり、他方フォンテインは共和党支持者で、上院軍事委員長マケインの外交アドバイザーでした。民主・共和両党で外交・安保政策に深くかかわった両人が、この論説を共同で書いたことにも意義があります。
上記論説では、超党派でやりうることとして6項目が挙げられています。
TPPの推進や米国のエネルギー輸出の拡大は、わが国にとっても直接関係のあることであり、実現すれば、我が国にとり有益です。
予算の強制削減は、税制、社会保障給付で両党の妥協を促しましたが、初期の目的は達成されず、今は有害なものになっているようです。その是正は、必要かつ可能なものでしょう。
武力行使権限法の改定も、必要で、実現の可能性は高いと思われます。
アフガニスタン、ウクライナについての提言は、実現へのハードルはより高いでしょう。
超党派で推進すべき課題として、イランの核問題など、いくつかの課題には言及されていません。これらは、ワシントンの雰囲気では難しいからなのでしょうか。
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