コーポレートVCの創設が相次ぐなど、大企業が生き残りをかけて、ベンチャーとの協業に本腰を入れ始めた。日本に起業文化が根付く兆しが見え始めている。
*第1回、第2回の記事
朝6時台の新宿・超高層ビル街の一角。まだ表玄関も開いていない、とあるビルの裏口に、ベンチャー経営者、大企業社員、投資家らが続々と入っていく。
トーマツベンチャーサポートは、大企業とベンチャーを結び付けることを目的とした「モーニングピッチ」を毎週木曜日の朝7時から開催している。これはベンチャーが大企業社員や投資家の前でプレゼンを行い、事業提携や買収などに繋げるイベントだ。
会場を訪れると、開始前から至るところで名刺交換が行われ、会場は熱気に包まれていた。各ベンチャーがプレゼンした後に行われる質疑応答では、キヤノン、シャープ、ソニー、東芝、ニコン、日立製作所、それからサムスンと名だたる大企業の社員が登壇者に質問を投げかけていた。
モーニングピッチには、多くの大企業社員、投資家が集う
「イノベーションを起こせず悩んでいるのは、何も日本の大企業だけではありません。アメリカでも他の国でも同じです」。サンフランシスコでベンチャーキャピタルのスクラムベンチャーズを運営する宮田拓弥氏は話す。
「コンテンツ管理が厳しいことで知られるディズニーがキャラクターやコンテンツといった自社のアセットを自由に使ってよいと謳う支援プログラムを始めたことがアメリカでは話題となりました。それだけイノベーションに悩んでいる企業が多いということでしょう」(宮田氏)