2022年7月6日(水)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2015年3月25日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

新潟県立大学国際経済学部教授

1952年生まれ。東京大学法学部卒。日本興業銀行入行。パリ興銀社長、みずほ総合研究所チーフエコノミスト、経済産業研究所理事長などを経て2020年4月から現職。主な著書に『大過剰 ヒト・モノ・カネ・エネルギーが世界を飲み込む』(日本経済新聞出版社)。
 

 その次の第3段階では、興味深いことに再度生産年齢人口比率が上昇する。それは、少子高齢化が進み始める初期では、子供が増えなくなるものの生産年齢人口がまだ増えつづけるからであり、人口増が乏しくなる中で生産年齢人口比率は見かけ上増加する。

 そして、少子高齢化がさらに進展して生産年齢人口比率が一方的に減りだすのが、第4段階である。この段階になると、総人口も場合によっては減少に転じ、実質GDPの増加も極めて緩やかなものとなる。

 以上の生産年齢人口比率と実質GDPとの関係が主要国でどうなっているのかを見たのが、図表2である。見ての通り、日本とドイツが第4段階にある。また、アメリカやフランスも第3段階から第4段階に入ったところにある。一方、中国は第2段階、ブラジルは第1段階にある。

【図表2】生産年齢人口比率と実質GDP
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生産性向上と労働人口確保にまい進すべき日本

 日本の課題は、この第4段階にあって、どのように経済活性化を実現するかにある。ちなみに、第1段階にあるブラジルといった国では、教育の充実と人材開発が柱となるし、第3段階にある国では、少子高齢化の速度を遅らせることで良好な成長をより長期間享受できることになる。

 しかるに、第4段階にある日本やドイツでは、経済成長をするにも、活力ある社会を維持するにも、少子化対策が最優先の課題と言える。とりわけ、生産年齢人口が比率だけではなく、人数でも減少するようでは、良好な成長を維持し続けることは難しくなっていく。

 しかし、少子化対策を強力に行うとしても、それが効果を挙げるには時間がかかる。特に、女性が働くと同時に出産育児をしやすい社会を創っていくとすれば、多方面での施策や環境整備が欠かせず、一朝一夕には実現しない。

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