2024年11月21日(木)

都会に根を張る一店舗主義

2015年5月8日

美味しくなった食事と多様なカフェを支える人たち

 『カフェスロー』の魅力は、何といっても澄んだ味わいのコーヒー。お茶もワインも有機だ。ところが、近頃、店に並ぶ海塩や有機スパイスと、調味料にもこだわり抜いた食事が、ますます美味しくなってきた。中でも一日15食限定、種を考える「つづくたねの野菜プレート」は、オーガニックカフェの老舗らしい気迫を感じさせるランチ。それらの野菜は、品種改良されたF1種を極力使わず、自家採取された種にこだわっている。この日の横川ツバメ大根は、在来種保存で知られる長崎県の岩崎政利さん作で、キクイモや黄人参は茨城県で自然農法を実践する新進気鋭の農家「ポコ・ア・ポコ農園」から購入。玄米ご飯も山形の在来、さわのはな。

(左)つづくたねの野菜プレート(1380円~)(右)フェアトレードのコーヒーで一息。きちんと解説してある

 こんなランチを、ふらりと来て、子供と楽しめる近所のお母さんたちが羨ましい。

 それに、この限定食にありつけずとも、さつま芋の高きびバーグに千切りじゃが芋の中華炒めとスロープレートもいけるし、季節ごとに変わるカレーや放牧豚、湘南ぴゅあポークのホットドックもある。在来の黒豆、黒千石とさわのはな団子のぜんさい、月桃塩添え。オレンジとクランブルのタルトなどデザートもいける。

(左)スロープレート(1260円)(右)黒千石と自家製さわのはな団子のぜんざい~月桃塩添え(550円)

 マニュアル重視のチェーン店とは反対に、フレキシブルで、盛りだくさんなこの店の底力は、人間力。この数年間、ただ体に良いだけでなく、美味しい食事をと試行錯誤してきたのは、彼らだ。そこで今回は敢えて、スタッフ全員をご紹介したい。

 まず、オフィス・マネジャーの間宮俊賢さん(38歳)は脱サラ組、地域社会への関心を通じてカフェと出会い、2006年、吉岡さんの誘いを受けて転職した。目下の夢は「全国の在来種を守る農家を巡ること」。また愛・地球博にも携わった原田大二郎さん(31歳)は、ピースボートで南米を旅するうち、「環境と平和を自らの暮らしで体現したいと実感」、現在カフェ・マネージャーを任される。広報マネージャーの渡邊由里佳さん(40歳)は、エクアドルに数度足を運んだ『ナマケモノ倶楽部』創立メンバー、現在2児の母として「未来を生きる子どもたちにいのちが物差しになった社会を受け渡したいと」強く願っている。


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