Wedge REPORT

2015年5月8日

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 双葉高校をはじめとする双葉郡内の県立高校5校は、2015年4月1日、県立ふたば未来学園高校の開校に伴い、休校となった。名門双葉高校野球部のOBたちは高校の存続を願って、署名運動を続けていたという。「休校の喪失感は大きい」(双高OB)。

 双葉高校の校歌はこんな歌詞で始まるという。

 「楢葉標葉のいにしえの 名も遠きかな大八洲(おおやしま) その東北ここにして天の恵みは満ち足れり」

 双葉の地が、楢葉・標葉(しねは)の2郡に分かれ、この日本を大八州と呼んだのは 思えば遠い昔のこと、という意味だ。平安、鎌倉時代の武将、楢葉氏、標葉氏に由来する2つの「葉」を合わせた造語「双葉」が開校から92年の歴史を経て、卒業生が熱烈な母校愛を抱くほどの一体感に至った。

 現段階では母校の喪失感は強くとも、5校を束ねる存在となったみらい学園はまた新たな母校愛を紡いでいくだろう。広域合併や広域連携に反対する地元感情は、地方に行けば行くほど根強い。しかし、ルーツや文化を残しながら、全体として新たな歴史を築いていくことは不可能ではないはずだ。

浪江町請戸

 自民党は5月に新たな復興プランをまとめ、それを受けて政権が次の5カ年の復興政策を示すと言われている。これまで国は、「地元の意向を尊重」という逃げ口上で、大所高所の方針を示すことを避けてきた。イノベーション・コースト構想に見られるように、利権誘導で個別最適に陥りやすい個々の市町村に寄り添うだけでは、人口減少時代の全体最適はない。一見住民感情に反することであっても踏み込んで道を提示するのが政治のリーダーシップだ。具体的には、賠償金の打ち切りと広域連携への誘導を示すことだ。

  
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◆Wedge2015年5月号より

 

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