小川:僕もいろいろな業界でデータ面のサポートをやっているけど、結局は業種ごとに全部違うから、農業分野も品目ごとにできてくるんじゃないかな。
久松:なるほど、花なら花だけで。
小川:花の温室管理をするとかね。僕は環境認証の会社をやっているんですけど、農薬散布とかを記帳させているんですよ。
久松:わかる。それは本当に大事なことだ。
小川:業務的に標準化してあげればサポートできるんですよね。場合によっては税理士さんとかさ、そういう人がやるかもしれないよ。気の利いた人だったら農業分野に入っていっても、商売になるでしょう。
久松:ただね、いわゆる「士業」もまたIT化が遅れているんですよね。特に税理士は、これまでは記帳業務で食っていけた人たちだったから。クラウド型の会計サービスがいくつも現れて記帳も自動化されつつある今、じきにこれまでの業態では食べていけなくなる。
じゃあ税理士さんは何をやらないといけないか。それは機械ができないことをやるしかないですよね。機械ができることは機械にまかせて、コンサルタントやサポートに特化するしかない。そのかわりこれまでよりたくさんの法人を見ることもできるわけでしょう。こういう話をしても乗ってくる人は少ないけど、感度が高い会計士さんは「それやろう」と言ってくれる。
小川:うちのゼミの卒業生で税理士になった子にも、それをやれって言っていますね。
久松:異業種でチームを組めれば、面白いことができると思います。小さくて強いプレイヤーの連携なんですよね。それがないとアンスケーリングモデルは成り立たない。
小川:そうだと思います。
久松:農家全員がビジネスプロセスを俯瞰で見られるわけがない。みんなが乗っかれる業務パッケージを作って、「あなたはとにかく花の栽培に集中しないさい」としないといけない。逆に俯瞰で見るのが得意な農家は、パッケージ作りに関わっていかないと自分もみんなも生き残れない。最近はそんなことばかり考えますね。
小川:小さいなりにできるインフラ作りは、ひとつの出口になるんじゃないかな。それを受け入れてくれる士業の人が出てきてくれたらいい。彼らは知識あるからね。今はまだ公認会計士よりも税理士の方が食べられちゃう時代だからなかなか出てこないだろうけど(笑)、気の利いた人はわかっていると思いますよ。
でも農業では小さなプレイヤーが増えてくると思うんですよね。日本の場合はアメリカみたいに穀物メジャーとかにはなりようがないから、コンビニオーナーくらいの中規模経営者がたくさん出てくるんじゃないかな。