図は、国内シェアトップのシャープ、京セラ、ソーラーフロンティアの3社の太陽電池関連事業の売上高と営業利益率の推移を示したもの。各社とも2013年度に急速に業績が伸びており、政策による国内市場急拡大の恩恵を受けたと考えられる。
しかし、シャープと京セラの業績推移を見る限り、政策がもたらした恩恵が極めて短期的であったことがわかる。シャープの場合、営業利益が出たのは、2013年度のみであり、2014年度は626億円もの営業赤字に陥った 。現在シャープは大胆な経営再建を迫られる危機的な状況にあるが、太陽電池事業の不振は、その1つの原因だといわれている[3]。
2014年度の京セラのファインセラミック応用関連事業の営業利益も30億円にとどまり、太陽電池事業が全体の足かせになったと指摘されている[4]。昭和シェル石油(ソーラーフロンティア)だけは好業績を維持しているが、決算期が異なることが関係しており、2015年1~3月期の営業利益率はマイナス2%の赤字となってしまっている。
短期的な導入ブームの反動が明らかに各社の業績に表れている。したがって、FITによる国内市場の拡大は、日本の太陽電池メーカーの競争力向上に貢献することはなかったのである。
[1] 青島矢一・朝野賢司「再生可能エネルギー政策をゆがめる力:日本におけるFITの影響分析」、『日本エネルギー学会誌』(2015年7月号掲載予定)
[2]例えば、「固定価格買取制度は最初から破綻が見えていた」「太陽光発電 甘い導入想定、産業政策のウソ 高すぎる買取価格を大胆に切り下げよ」を参照のこと。
[3] 「苦境のシャープ、なぜ太陽電池を続けるのか 事業の売却・縮小をかたくなに否定」『東洋経済オンライン』 2015年4月12日
[4]「京セラ、ソーラー事業にぬぐいきれぬ不安:最大の足かせはソーラーの価格下落」『東洋経済オンライン』2015年5月3日
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