2024年4月25日(木)

田部康喜のTV読本

2015年7月23日

 さまざま人に助けられる。そして、周囲の人々を変えていく力も持っている。一馬の子どものような純粋さに触れて、同居していた元社長は、再び人生を歩みだそうという気持ちがわいてくるのだった。家族のもとに戻る。

 初恋の相手となった、謎の女性・真佐子もまた、一馬と付き合ううちに元気になっていく。

 回想シーンのそれぞれが、印象深く心にしみる。

 珍しい蘭を取ってくることを教えてくれた男性が、実は相場の価格を大きく下回る価格で一馬から買っていたことがわかり、その男性を友人と思い込んでいた彼は大きく傷つく。

逃げちゃだめだ。生きることは素晴らしことだ

 自殺を思い立って、通りすがりのトラックを止めて、適当な場所まで運んでくれることを運転手に頼む。運転手は、富士山麓の樹海まで連れていく。そして、30分待つから、思い直したら戻ってくるように諭す。

 「人生は面白いことがある。死んだら面白いことなんてないよ」と。

 樹海の白骨死体に驚いて、一馬は死を断念する。

 窃盗容疑の裁判で執行猶予判決を受けた一馬は、刑事の桃園の勧めで、障害者施設で作業の仕事を始める。女性職員の軽部久美(尾野真千子)が担当になる。

 施設の規律に耐えかねて、山に戻ろうとする一馬と、追いついた軽部とのくんず、ほぐれつのやり取りはみせる。

 「逃げちゃだめだ。生きることは素晴らしことだ」と軽部はいう。

 10月1日からの「完成版」では、一馬の初恋の相手である真佐子や、作業所の仲間の人生の謎が解き明かされる。楽しみな展開である。

 

  


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