2014年5月、私立千葉国際中学・高等学校を経営している学校法人千葉国際が民事再生法の適用を申請した。負債は約30億円。しかし、同法人の倒産は、これまでの少子化を背景とした学校法人の“定員割れ倒産”とは様相が異なる。
学校側の説明によれば、近年生徒数は増加傾向を示し、3年前(2011年度)と比べ現在の在校生数は約150人も増加したという(2014年春時点で中学が約136名、高校が約436名)。本来であれば、原則前払いの授業料を主な収入源とする学校経営法人は資金計画が立てやすく、増収が確実な状況のなか倒産するのは不自然なのである。
問題は、カネに頼った特待生集め
同法人は、“特待生による採算悪化倒産”濃厚だ。中学・高校ともに、「一般生」のほかに「S特待生」、「A特待生」「B特待生」という区分を設定し、特待生の授業料等を大幅に割り引いた料金としている(「S特待生」はほぼ無料)。つまり、将来有名大学に合格する可能性が高い成績優秀者や、プロスポーツプレイヤーになる可能性が見込まれる学生については“タダ”同然で入学させている。もちろん、Jリーグ鹿島アントラーズや、プロ野球西武ライオンズに同校の出身者がおり、近年の生徒数が伸びていたというのであれば、効果的な手法であったと言えるであろう。
しかし、結果的に千葉国際は倒産した。倒産理由は、理事長が会見で示した「1992年開校時の借入負担が重かったため」だけでは説明が付かない。各区分に何名ずつ該当しているかは公表されていないが、サッカー、野球、バスケットボールで特待生を取っていたほか、勉強でも特待生を取っていたことからしても、生徒数増加法人の資金繰りを狂わすには十分の特待生がいたことは明らかだ。
問題は、カネに頼った特待生集めである。学校法人は生徒を使ったPRに躍起になるのではなく、足元を見据えた経営を心掛けるべきであるということを、千葉国際は身をもって全国に示した。
人口減少によりスポーツエリート校ビジネスモデルが崩壊すると、甲子園常連校のラインナップが変わるかもしれない。しかし、特待生制度を続けられる、つまり、人口減少度合いが少ないと見込まれる都市部の高校が一層有利になるという結果を生み出す可能性が高い。
甲子園、野球は、学校経営と切り離して純粋に楽しみたいものだ。
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