2022年10月1日(土)

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2015年8月12日

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石井孝明 (いしい・たかあき)

経済・環境ジャーナリスト

慶大経卒。時事通信記者、経済誌フィナンシャル・ジャパン副編集長を経て現在、フリーで執筆活動を続ける。アゴラ研究所の運営するエネルギー情報サイト「GERP」の編集も担う。

非科学的な審査の実態

 事業者と規制当局は、立場は違えど「原子力の安全」という目指す方向は同じであるはずだ。ところが両者は不幸な対立関係に陥っている。

東日本大震災から原発再稼動までの道のり
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 規制庁と事業者のやりとりは、非科学的なものが多い。当局が事業者に何をすればいいのか明確に言わないことが頻繁にある。そこで業を煮やした事業者が自ら災害レベルの想定を引き上げ、過剰対策をすると、規制庁は認めることがある。

 特に基準地震動の設定が長引いている。これは原発やその周辺で想定される地震の最大の揺れだ。規制委はこの問題で、過剰な安全性を求める。

 関西電力は7月、美浜原発3号機(福井県)の安全審査で、基準地震動の前提となる震源断層の深さを「4キロより深い」から「3キロより深い」に見直した。深度が浅いと、地震の想定振動は大きくなる。

 関電は同社の3つの発電所共通の手法で震源断層を推定。美浜だけは「4キロより深い」と導いたが、規制委は「他と同じ深さになるべき」と主張。科学的な根拠は示されなかったが、関電は結局、規制委の意向に従った。九電川内原発の審査でも同様に基準地震動の引き上げを求め、同社が応じたところ、ここが優先審査の対象とされた。

 意図を明確にしない規制行為は、細かな事でも存在する。ある原発では火災対策で、重要な場所に火災報知器を設置している。すると規制庁は「この場所につけない理由は何だ」と聞いてきた。そこは安全に関わる重要な設備が置かれていない場所だった。しかし、電力会社は言外に「ここに置け」と命じられたと推量し、設置場所を増やしたという。

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