2024年12月13日(金)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2015年6月26日

 足元の景気は上向きつつある。背景にあるのが、円安、低金利や株高といった要因である。街角の景況感を示す景気ウォッチャー調査を見ても、景気の現状判断は今年になってから改善しており、とくに2月以降は好不況の分岐点とされる50を上回る数値(DI)となっている。

 個人消費も徐々に回復している。名目賃金は緩やかな上昇を続けており、実質賃金は4月も前年同月比マイナス0.1%と減少が続いたが、減少幅は13年6月以来の小さなものとなった。史上最高の企業業績を踏まえて夏のボーナスが増加する見込みであることを踏まえると、これからの所得増と消費増への期待も大きい。

 いままでの個人消費動向を分析すると、今年度の消費は、その勢いがあった消費税引き上げ前の2013年に並ぶような伸びとなる可能性が十分にある。個人消費支出はGDPの6割程度を占めるだけに、この伸びは今後の経済成長を高めることにも直結する。

消費税要因に左右された第1四半期

 4月の小売業販売額増減率(前年同月比)を見ると、3月の落ち込みから反発している(図表1)。主要な内訳を見ても、原油安で燃料費支出が落ち込んでいる以外は全て増加している。

(図表1)日本:小売業販売額増減の推移 (注)前年同月比 (出所)経済産業省「商業販売統計」より作成
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